#16 ケイローンとの闘い
笑顔の騎士に変身した日向はサンヨーヨーを右手に、急いで校庭へと向かった。
校庭へと近づくにつれて、白く塗り染められた生徒の数が目立つようになってきた。
中には先ほど連れ出された男子生徒の姿もあった。
おそらく、敵の攻撃手段は――。
「ヒナタ、後ろよ!」
レレの言葉通り、後ろから矢がとんできた。
日向を捕らえることが出来なかったその矢は地面へと当たると、その周りを白く染めた。
モノクロームは必ず近くにいる――。
ひとまず、日向は校庭へと向かった。
しかし、そこにモノクロームの姿はない。
――どこに行ったの?
もう別の場所へ移動してしまったのだろうか――。
それはそれで被害が拡大してしまう。
――早く見つけないと。
「うわぁぁぁ!!」
数人の生徒の悲鳴が聞こえてきた。
まだ、無事な生徒はいるようだ。
それに、モノクロームがこの付近にいるということにもなる。
さて、どこにいる――。
「助けてぇ!!」
1人の女子生徒がこちらへと走ってきた。
どうやら、日向に助けを求めにきたらしい。
――よかった。
――この生徒だけでも助けられる。
「早くここから逃げよう!」
そう言って手をさしのべたときだった。
日向の後ろから矢がとんできて、女子生徒に当たった。
矢が当たった場所からみるみる白く染まっていく女子生徒――。
「いや――。助けて――」
完全に女子生徒は白く染まってしまった――。
流れ出た涙も見事に白く染まっている。
日向は言葉を失った。
乙女怪盗団のショーのときも人々はこのように恐怖に怯えながら白く染まっていったのだろうか――。
真実と悠佳も泣きながら白く染まっていったのだろうか――。
日向は唇を噛み締めると、後ろを振り返った。
そこには、モノクロームにされたケイローンとサングラスをかけた少女の姿があった。
あの日、出会った少女である。
「あっあのときのクールナイツじゃん?久しぶり!元気にしてた?」
「ふざけないで!どうしてケイローンにこんなひどいことさせるの?」
「だって、あそこでじっとしてるのとか退屈じゃん?だったら、暴れさせてあげた方がいいでしょ?」
少女の合図とともにモノクロームは日向に向かって矢を放つ。
特に矢のスピードが速いわけでもないので交わすことになんの問題もない。
しかし、連続して放ってくるので近づくことが出来なかった。
浄化をするにしても、1度足を止めなければならない。
その間は完全に無防備となるだろう――。
「もう降参かしら?」
モノクロームは依然として矢を放ってくる。
その場から動くことなく、正確に日向に向かって矢を放ってくる。
ふと、日向はあることに気がついた。
「ねぇ、ケイローンは馬の脚を使って速く駆けたり出来るけど、そのモノクロームの馬の脚はただの飾りなの?」
「そんなバカなはずないでしょ?あんたを捕らえるのに自慢の脚なんて必要ないのよ」
「やっぱり脚に自信ないんだぁ?あんたの生み出したモノクロームって案外ポンコツなんだね?」
「小娘――。モノクローム、あいつを追いかけて踏みつけてやれ!2度と立てなくなるぐらいにね!!」
モノクロームは少女の指示通り、日向に向かって走ってきた。
――ひっかかった。
日向は必死に逃げるが馬の速さに人間が勝てるはずがない。
徐々に距離がつまっていってしまう――。
「ヒナタ!本当に踏みつけられちゃうわよ!」
「大丈夫!!」
日向は90°直角に曲がるように急に方向転換をした。
猛スピードで駆けていたモノクロームも砂ぼこりを巻き上げながら急ブレーキをかけ、方向転換を試みる。
しかし、脚がもつれてしまったのだろうか――。
体勢を崩したモノクロームは地面に叩きつけられるかのように倒れた。
同時に、弓も手放してしまった。
日向はゆっくりとサンヨーヨーを手元に戻した。
なるほど――。
方向転換をしたとき、とっさにサンヨーヨーの糸でモノクロームの脚をひっかけたのだ。
「ヒナタ、今よ!」
「オッケー!」
日向はモノクロームの身体へとヨーヨーを巻き付ける。
そして――。
「サン!スマイル・ブレイクアウェイ!」
モノクロームの身体はオレンジ色の光に包まれるのであった。




