表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹色騎士 クールナイツ ~cool knight~  作者: 彼方 菜綾
♮4 クールナイツの華麗なる潜入
133/208

#131 扉の先に待ち受けていた者

 お城の扉を開けると、まず目に入ってきたのは天井にぶら下がる大きなシャンデリアだった。

 次に目に入ってきたのはモノクロで統一された部屋。

 さらに視界を左右に向けると、それぞれ扉が1つずつ。

 

 そして、目の前には大きな階段が――。

 途中には踊り場があり、そこから階段がまた左右に分かれている。

 そして、その先にまたそれぞれ扉が1つずつ。


 つまり、この部屋には計4つの扉があるということになる。

 さて、どの扉を開ければハクとコクが、あるいはメドゥーサがいる部屋に辿り着けるのだろうか――。


「シシ。部屋の間取りは分かるか?」

『残念やけど知らんな』


 シシ曰く、こんな大きなお城は見たことがないのだと――。

 おそらく、このお城はレインボー・ミレニアムからセピア・キングダムに移り変わったときに建てたのだろう。

 さて、何の情報もないこのお城をどう攻略しようか――。


「とりあえず、2階に上がってみるか」


 なぜ望夢ダイヤが2階ヘ行くことを選択したか――。

 そんなの決まっている。

 たいていボスというものは建物の最上階にいるものと決まっているからだ。


 途中、星奈スター日向サン月美ムーンに左右どちらの扉がいいか聞くと皆、左の扉を選んだ。

 これに関しては特に理由はないだろう。


 望夢ダイヤはドアノブに手をかけて、ゆっくりとその扉を開けた。

 その先に見えたのはまた同じような内装の部屋。

 そして、見たところ誰かが待ち構えている様子はない。


 ゲームの世界で考えるとしたら、この扉は当たりということになる。

 だって、もしも間違った扉を開けたのならば大量の敵が押し寄せてくるはずなのだから――。


 その後も望夢ダイヤたちは扉を開けては進んで、扉を開けては進んでを繰り返した。

 しかし、進む先々に人はおらず、ただ同じような内装の部屋が続くばかりだった。

 まるで、さっきから同じ部屋を通っているような感覚だった。


「ねぇののくん(ダイヤ)――」


 ふと、星奈スターが話しかけてきた。


「どうした?」

「――護琉さん(スペード)が倒れたのってわたしのせい?」


 モノクロームと出会でくわした瞬間、星奈スターは大声をあげてしまった。

 それをきっかけにたくさんのモノクロームが集まってきた。

 

 おそらく、護琉スペードはいろいろ作戦を考えていたはずだ。

 しかし星奈スターがそれを台無しにしてしまい、さらに護琉スペードに負担をかけてしまった。

 星奈スターはそのことをずっと引きずっていた。


「別にあんなのおまえのせいじゃないだろ。どちらかというとモノクロームを倒さないという選択をしたまも(スペード)の自業自得だろ」

「でも、あれは敵の数が多すぎたから倒せなかったんでしょ?もしも、敵の数が少なかったら――」

「じゃあ1つ質問。朝起きたら突如として周りが1面モノクロの世界になっていました。さて、おまえたちならどう思う?」


 なぜかいきなり望夢ダイヤが質問をしてきた。

 質問の意図はよく分からないのだが、星奈スター日向サン月美ムーンとともに頭を悩ませた。


 とりあえず、想像してみよう。

 夜いつも通り家族におやすみと言ってベッドにつく。

 そして、いつも通りの時間に朝起きて家族と楽しく会話をしながらご飯を食べる。

 「いってらっしゃい」と家族に見送られながら扉を開くと、そこは1面モノクロの世界でした。

 空も花も草も、そのすべてがモノクロに染められた世界。

 そんな世界――。


「「「嫌に決まってる」」」

「だろ?まも(スペード)はレインボー・ミレニアムの住人たちがそんな思いをしないように、あえて浄化しなかったんだよ。もちろん、事が済んだらちゃんと浄化する。だから、これはおまえのせいじゃないんだから、あんまり気にするな」


 望夢ダイヤ星奈スターの頭を優しく撫でた。

 星奈スターの顔から不安な表情は消え去り、嬉しそうに口角をあげていた。


 しかし、この理由は星奈スターを安心させるために作ったもの――。

 本当の理由は、モノクロームから解放された住人たちの身の安全が保証されていないというものだった。


 アピスとアペスがモノクロームとなり襲いかかってきたことは記憶に新しい。

 さて、モノクロームとなり襲いかかってきた彼らはどのような最期を迎えただろうか――。


 望夢ダイヤは考える。

 おそらくアピスとアペスはモノクロームに身体を支配されたがためにいのちを落としたのではないと――。

 モノクロームを浄化したと同時に呪いか何かが発動して、彼らはいのちを落としたのではないだろうかと考える。

 つまり、理由は分からないがハクとコクはクールナイツを利用してアピスとアペスを処分した。

 

 もしも、これがレインボー・ミレニアムの住人にも適用されていたら――。

 だから、護琉スペードはあんな無茶をしてでも守護の騎士(クールスペード)としてレインボー・ミレニアムの住人を護ることを優先したのだと思う。


 しかし、星奈スターたちが浄化したあともレインボー・ミレニアムの住人たちに息があったので、少なくとも彼らに呪いはほどこされてはいないということが分かった。

 とりあえず、一安心である。


 さて、そんなことよりもなぜだかすごく視線を感じた。

 望夢ダイヤが視線を感じた先に目を向けると、鬼の形相ぎょうそうで睨みつけてくる日向サン月美ムーンの姿があった。

 

 理由は言われずとも分かる。

 星奈スターの頭だけを撫でているからだ。

 そう思っていたのだが――。


護琉さん(スペード)が倒れたのって最終的にはののくん(ダイヤ)のせいだよね?」

「うん、わたしも見てたからそう思う」


 睨みつけられていたのは別の理由だった。


 実はあのとき、護琉スペード望夢ダイヤの隣で力尽きたから倒れたのではない。

 望夢ダイヤ護琉スペードの脚をひっかけて無理やりこかしたのだった。

 それを護琉ダイヤが隠すようにきれいに話をまとめたことに納得がいかないのだろう。


「おまえたちも、あれだけたくさんのモノクロームを倒して偉いぞ」


 望夢ダイヤ日向サン月美ムーンの頭も優しく撫でてあげた。

 2人とも何か言いたげだったが、やはり嬉しいのか鬼の形相も嘘のように消え去り、2人とも口角をあげたのだった。

 

 まったく、今は希望の騎士(クールダイヤ)夢の騎士(クールスター)笑顔の騎士(クールサン)祈りの騎士(クールムーン)だというのに、これではいつもの望夢のぞむ星奈ほしな日向ひなた月美つきみと変わらないではないか――。

 ここに護琉スペードがいたのならば「正義の味方としての自覚が足りない」と怒られていたところである。


「さぁさっさとメドゥーサなり、ハクとコクなりを倒してまも(スペード)の悔しがる顔を拝みに行こうぜ!」

「って、話を逸らすな!」

「暴力反対!!」

「ってか、わたしそれ見てないんだけど?!めっちゃ見たかった!!」


 わいわい喚く3人を無視して望夢ダイヤは目の前の扉を開いた。

 すると――。


「やっと来たか。ずいぶんと遅かったじゃねぇか」

「おまえは――」


 視界に入ってきたのは、今までとは造りが違った大きな部屋だった。

 そして、少し先には大きな椅子が3つ。

 明らかにお偉いさんが座りそうな椅子である。

 その1つにふてぶてしく腰掛けるのはハクでもなく、コクでもなく、ケルベロスだった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ