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虹色騎士 クールナイツ ~cool knight~  作者: 彼方 菜綾
♮1 クールナイツの誕生
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#11 クールナイツを倒してこい

 1人の少年が薄暗い通路を歩いていた。

 モアイ像の頭を抱えていたあの少年である。

 

 見た目は高校生ぐらいだろうか――。

 黒髪のウルフカットが特徴的かと思えば、後ろで髪をひとつに束ねている。

 

 カツンカツンと少年の足音だけが、ただ廊下を響き渡る――。

 歩き方にぎこちなさを感じないところからすると、脚の傷は無事に癒えたのであろう。


 さて、しばらく歩き続けていると扉が見えてきた。

 その扉を開けると、これまた白黒で統一された部屋だった。

 壁も天井も床も机の上に飾られている花も、そのすべてが白黒――。


 少年は何も言わずに部屋へ入ると、無言で椅子に座った。


 そんな少年へやけにニヤニヤしながら近づいてくる少女が1人――。


「デーネブ!」


 ゲリラ将軍をモノクロームに変えたあの少女だった。

 髪は茶色く、髪型はボブ――。

 今日も相変わらずスカートは短めである。

 少女はデネブに抱きつき、頭をわしゃわしゃとでた。


「あんた、ずいぶんと派手にやられたみたいじゃない?傷は癒えた?痛いの痛いのとんでいけしてあげようか?」

「いらない――」

「もう、その塩対応もめっちゃかわいい!」


 少女は更にデネブを抱きしめる。

 デネブは無表情だが、うっとうしく思っているのだけは理解できる。


「ベガ、今回はデネブの自業自得じごうじとくだ。心配する必要などない」


 デネブと向かいに座っていた青年がポツリと呟く。

 シャボン丸2号をモノクロームに変えたあの青年である。

 2人よりは歳上だろうか――。

 今日もやや藍色のツーブロックが決まっている。


「アルタイルみたいにかげでこそこそ戦いたくないし――」

「俺は考えた末にあのような戦い方をしている。貴様みたいに考えなしに動いてるわけじゃない」

「うるさい!ぼくだって――」

「アルタイル。デネブたんがかわいいからと言っていじめすぎるの禁止!」

「貴様はデネブを甘やかし過ぎだ!」


 黒基調の服装にお揃いのサングラスと殺風景さっぷうけいな格好のわりに、個性はすごく濃い3人組らしい。

 しばらくの間、3人は言い争いを続けていた。


 しかし突然扉が開かれ、2人の男女が姿を現すと3人は一気に静かになった。


「アピス様――。アペス様――」


 最初に沈黙を破ったのはアルタイルであった。


 黒いショートの髪に藍色のメッシュが入った少年がアピス――。


 黄色のロングヘアーにピンクのメッシュが入った少女がアペス――。

 後頭部で一部だけ髪を結っており、残りの髪は肩にかかっている。


 2人とも瞳の色がシトリンを思わせる綺麗な黄色をしているのだが、双子であろうか――。


 アルタイルは我に返り、急いで2人の前にひざまずいた。

 それを見たベガとデネブも続くように跪いた。


「ひどく騒がしいのですが、何事ですの?扉の外まで会話が筒抜けですわ?」

「申し訳ありません――」

「――何があったのかな?」


 アルタイルは夢の騎士(クールスター)という者が現れたこと、その者によってモノクロームが倒されたことなどを事細かにアピスとアペスに伝えた。


 同じく、ベガとデネブもそれぞれ笑顔の騎士(クールサン)祈りの騎士(クールムーン)について事細かに伝えたのであった。


「クールナイツが?そんな、あの人たちはハク様とコク様の手によって倒されたはずでは――」

「しかし、ご心配な――く。必ずや目的を果たしてみせましょう」

「何、甘ったれたことを言ってるんだよ?」


 いつ入ってきたのか、アピスとアペスの後ろに別の少年が立っていた。


「ケルベロス兄さん。せめて、ノックしてから入りなよ――」


 ケルベロスと呼ばれた少年の髪色はワインレッドといったところだろうか――。

 髪は腰辺りまで伸びており、頭の両サイドが少しだけピョコっとはねているのが非常に特徴的だ。

 これはくせ毛なのか――。

 なんにせよ、非常に態度が悪い。

 しかしケルベロスの目はずっと閉じられたままなのだが、もしかしてケルベロスは目が不自由なのであろうか――。


「今すぐにでもクールナイツを潰してこい」

「兄さん。目的はクールナイツを倒すことじゃない。真の目的は――」

「どっちも同じことだ」


 ケルベロスは更にアルタイル、ベガ、デネブの3人を顔を向けた。

 目は閉じられていても、隠れた瞳でにらんでいるのが見て分かった。


「必ずクールナイツを潰してこい。さもなくば、どうなるか分かってんだろうな?」


 チッとあえて聞こえるように舌打ちをすると、ケルベロスは扉を荒々しく閉めて出ていくのであった。


「ごめんなさい。今のお兄様は心ここにあらずって感じなの――。だけど、どうか今だけは許してあげて――」

「とりあえず、ケルベロス兄さんの言うことは無視していい。だけど、俺たちの本当の目的だけは忘れないでね」

「「「承知しました」」」


 3人は更に深く頭を下げた。


 アペスはデネブにそっと近より、耳元でこうささやいた。


「約束は必ず守るのですよ――」


 そうしてアピスとアペスは部屋を出ていくのであった。


 数分後、最初に体勢を崩したのはベガであった。


「あぁ疲れた。ケルベロス様って本当に人使いが荒いわね。アルタイル、あんたよくあんなのに従えるわね?」

「――ケルベロス様を侮辱ぶじょくするのは許さんぞ」

「侮辱してません~。本心を言ってるだけです~」


 アルタイルとベガの間に見えない火花が散り始める。


 その間を無表情で通りすぎるデネブ。


「デネブ、どこ行くの?」

「目的を果たしに行くだけだよ――」


 それだけを言い残すと、デネブは部屋を出ていくのであった――。

アルタイル

夢の騎士と交戦した青年。3人の中では1番礼儀正しい。


ベガ

笑顔の騎士と交戦した少女。デネブを溺愛できあいしている。


デネブ

祈りの騎士と交戦した少年。ベガからのスキンシップをうっとうしく思っている。


ケルベロス

態度が非常に荒々しい青年。くせ毛が特徴的。


アピス

黒髪ショートに藍色のメッシュが目立つ少年。


アペス

黄色のロングヘアーにピンクのメッシュが目立つ少女。

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