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虹色騎士 クールナイツ ~cool knight~  作者: 彼方 菜綾
♮3 クールナイツの知られざる真実
110/208

#108 疑うべきだった敵の言葉

 シスターは確かに言った。

 「彼らは毒に身体をおかされている」と――。

 だから、投げ渡された解毒剤げどくざいを急いで望夢ダイヤたちに飲ませた。

 しかし、望夢ダイヤたちは一向に目を開けてはくれない。

 ずっと苦しそうに息をするだけだ。


「お兄ちゃん!しっかりしてお兄ちゃん!!」


 月美ムーンはそう言って望夢ダイヤの手を握りしめた。

 だが、望夢ダイヤがその声に答えることもなければ月美ムーンの手を握り返すこともしなかった。


 今になって後悔する。

 なぜ、言われるがままに渡された液体を飲ませてしまったのだろうと――。

 望夢ダイヤたちが毒に侵されていることは嘘で、実はこの小瓶の中身こそが毒だったのかもしれないのに――。


護琉まもるさん――。お願いだから返事してよ――」


 同じく、護琉スペード日向サンの問いかけに答えようとはしない。

 ただただ、苦しそうに息をするだけだった。


 望夢ダイヤたちが毒に侵されているのは本当で、小瓶の中身はただの水だったのかもしれない――。

 そんなただの水をシスターが渡してきたのは、ケルベロスから目を反らさせるためだったのだろう。

 おかげでまんまと逃げられるわ、望夢ダイヤたちは回復しないわでシスターの思い通りに事が運んでしまった。

 敵から渡されたものに対して、もっと怪しむべきだったと今更ながら後悔してしまう――。


「みつさん――。お願いだから目を覚ましてよ――」


 とうとう泣き出してしまった星奈スター

 涙がみつ葉(クローバー)の顔へと落ちるが、それでもみつ葉(クローバー)は目を覚まさない。


 そもそも、ケルベロスの狙いはハクとコクが欲しているスピリット・アニマルのはずだ。

 なのに、どうして毒など盛る必要があるのだろうか――。

 ケルベロスほどの実力があれば力業ちからわざでねじ伏せることが出来ただろうに――。

 今回の行動は明らかにいのちを狙いに来たとしか思えない行動である。


 ふと、ケルベロスの言葉を思い出す。


『こいつらはセピア・キングダムから逃げ出したんだ!』


 みつ葉(クローバー)が、護琉(スペード)が、望夢(ダイヤ)が――。

 いや、それはあり得ない。


 おそらく、望夢(ダイヤ)たちがクールナイツに覚醒したのはこの春のこと。

 そんな短期間のうちに星奈スターたちでさえ行ったことがないセピア・キングダムへ行けるはずがない。


 もしかして、望夢ダイヤたちはもともとセピア・キングダムの住人だったとか――。

 アピスが明石家あかしや蓮華れんげと名乗っていたように、偽名を使って人間界へ身を隠していたとか――。

 いや、みつ葉(クローバー)護琉スペードがそれに該当するにしても望夢ダイヤは絶対に違う。

 だって、幼い頃から星奈スター日向サン月美ムーンと一緒にいたのだから――。


 ケルベロスは絶対に誰かと勘違いをしている――。

 そして、不運にも望夢ダイヤたちはそれに巻き込まれてしまった――。


 とにかく、今重要なのはそこではない。

 今重要なのは、どうすればみつ葉(クローバー)護琉スペード望夢ダイヤを救えるかということ――。

 早くしないと本当に手遅れになる――。


 しかし、これといって方法が思いつくわけでもない。

 思いつかないから、ただただ涙を流すことしか出来なかった――。


『勝手に諦めないでほしいですの』


 突如、声が聞こえてきた。

 星奈スター日向サン月美ムーンに目を向けたが、2人とも首を横に振る。

 しかし、日向サンにも月美ムーンにも今の声は聞こえたらしい。

 ということは、もしかして――。


 そう思い、星奈スターみつ葉(クローバー)に目を向けるが、やはりみつ葉(クローバー)は目を閉じたまま――。

 同じく、護琉スペード望夢ダイヤも目を閉じたままである。

 気のせいだったのだろうか――。


『女の子に涙は似合わへんで!!』

『だから、泣き止むでござるよ――』


 また声が聞こえたと思ったら、突如みつ葉(クローバー)護琉(スペード)望夢ダイヤの身体がそれぞれ緑、青、黄色に輝き始めた。

 そして、そのまま光に包まれてしまった――。

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