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社会のゴミと異世界のゴミ

俺はコンビニ袋とさっき買った謎の『攻略本』が入った会社用のカバンを右手に持ち、左手でつり革をつかんで電車に揺られていた。


「くっそ重いな。はー、焦って買っちまったけどほんとに無駄な買い物したわ。300円あったらほかの中古ゲーの攻略本買えるしコンビニでおにぎり2、3個は買えるぞ。コスパ悪すぎんだろ。」


今日はゲーム屋の中に客が少なかったからいいものの、大人数にあのシーンを見られていたら確実に変質者の烙印を押されてしまっていたに違いない。あの店にはほぼ毎日通っている。地獄の中の数少ない癒しの時間でもある。ブラックリストに入れられたとなったら精神的に大ダメージを受けるだろう。考えただけでも泣きそうになる。


「ただいまーっと。」


人間で溢れかえった駅をどうにかかき分け自宅へと帰ってきた。家賃は東京の駅近くだけあって月8万もする集合住宅に男1人。上京してきて3か月くらいは寂しすぎてホームシックになりまくっていた。が、半年もすると孤独な男1人暮らしにも慣れてきて今では趣味に没頭できる最高な我が家へと変貌していた。


速攻でシャワーを浴びスーツから部屋着に着替え、柊壮太【引きこもりモード】へ移行した。やはりスーツを脱がないと仕事から解放された気がしない。


「さてと、この謎の攻略本。ほんとに300円の価値はあるのか検証タイムですな。」


ずるずるとカバンから真っ黒い本を引き出してなんとか1ページだけでも読もうと、本の両端に手をかけ渾身の力で左右に開いた。


『バギッ』


「は?」


久々に自分でも驚くような間の抜けた声がでた。なぜかというと本が開いたからだ。真ん中のページから真っ二つに開いた。というより割れた。


「・・・・・おい!嘘だろ!そりゃないぜー。あんな意味不明に焦って300円払ってクソ重いお前を抱えてやっと運んできたのに真っ二つかよ!一瞬でゴミへ生まれ変わりやがった!やっぱ他の攻略本買えばよかったわ。色々あったのになー。クッソー。もっと探しておけば、、、、ん?」


真っ二つに割れたページは黒く汚れているのか、文字がにじんでいるのか全く読めたものではない。が、もう片方のページはかろうじて読める部分がある。


【モンスター情報】

No.1756ベヒーモス

出現場所:フラノ

Lv70 HP24000 MP3000

使用攻撃:なぐる・メテオカウンター(MP30)・しゃくりあげる

弱点:2本の角

特記事項1:物理攻撃を受けると一定確率でメテオカウンターを使う

特記事項2:転生者はLv70以上で召喚獣として使役できる。


「ベヒーモス?使用攻撃?なんだこれ普通のゲームの攻略本じゃん。『異世界』とか書いてあったから少し期待してたんだけどな。まあこのゲーム、ネットで探す気もないし、割れたから売ることもできんし・・・はあ。あ、明日雑誌類のゴミ出しの日か。色々捨てるものもあるしかわいそうだがこの本も明日だすかな。」


結局俺は最近はまっていたRPGゲームをいつも通り攻略していき、ネットでコンビニ商品の商品紹介動画を見ながら12時には寝床についた。




次の日の朝、真っ二つの『異世界完全攻略ガイド』は俺の部屋から姿を消していた。






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