わっつあっぷ!
こんなことがあるのか。
目の前に広がる美しい泉と、その水面に映る「私」の顔を見て、私は自分の小さな手をこめかみへと当てた。
さて、こう言う時は一度落ち着いて事実をまとめることが大切だ。
だてに10年エンジニアなんてもんやってない。障害が起きた時こそ落ち着き、事実を洗い出すことに徹する。
私の出身は京都だ。
両親は2人とも生粋の京都人。
22の時に上京し、大手SE企業に勤め、3年で大企業の体質に辟易として、退職。
その後はネットに自作のコードをあげながら、できたプログラムを企業に売って生計を立てていた。
んで、そんな生活を2年くらいして、5年前に今の会社にヘッドハンティングされ、今や私もそれなりに名の通った人間として、世界中を飛び回っていた。
そう。今回もアメリカへの出張帰りだったはずだ。
一仕事終えた私は、3ヶ月ぶりくらいに日本に帰ってきた。
その帰路の飛行機が、あんな事故を起こさなければ、ではあったが。
簡単に言うと、落ちたのだと思う。
最後に覚えているのは酸素マスクが落ちてきて、それを顔に当てたところで、ものすごい重力が体にかかった。
あ。これ首折れたわ。
どどんぱもゴメン。
というようなG。
そんな宇宙飛行士でもなければ耐えれない重力に、もやしっ子エンジニアは速攻で意識を手放した。
そして次に気がついた時は、周りには飛行機の残骸ではなく、焼け焦げた木々の匂いと、瓦礫。
着陸の際に飛ばされたのかと思い、痛む身体を引きずりながら、水の音が聞こえる方へと歩いた。
そしたら、、まぁびっくり。
水面に映る私の顔は、まるで別人。
別人というか子供だ。
しかも日本人じゃない。
銀髪に紫色の瞳をしているまるでフェアリーのような少女。
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。
事実を並べてもやばい何一つどういうことかわからん!!!!
どういうこと!?
私何か夢でも見てんの?
なにこの使い古されたようなラノベの設定は!?
どういうことなのですか!?
私はっていうか、この女の子は誰なんよ!?
夢オチが1番いいが夢ではない。
なぜなら水の冷たさ
頬を撫でる風
大地に触れる肌
全てが夢ではないと行っている。
「ここは、どこなん?」