作戦
第一章はこれで終わりです。ここまで読んでくれてありがとうございました!
「よし、じゃあ今からこれからの行動、つまり作戦会議をするギンよ」
ソプラノ声でギンはそう言った。祭りから一晩明け、アリシアもアンビジオーネと戦うことを決めたので、俺達は村の小さな食堂に集まった。
「あたし戦うって言ったけど……、具体的にどうするってわけ? 」
アリシアはまだギンの厳つい風貌からのソプラノ声に笑いを堪えてそうだったが、なんとか会話をしていた。
「………」
ギンはアリシアの方をじとーっと見て、返答した。
「単純にアンビジオーネとワシらでは戦力に圧倒的な差があるギン。従って、今から正面切って突撃するのはありえないギンね」
「じゃあ、どうするっていうの? 」
アリシアは聞いた。
「今は、戦力を集めるギンよ」
「戦力? 」
「ギン。このロメルシア大陸はもうほとんどがアンビジオーネ王国領じゃないのか? なのにどうやって戦力集めるって言うんだよ? 」
俺は口を挟む。
「確かに、もう大半はアンビジオーネの領土なのは否定はできないギンね。だけど、まだ余地はあるギンよ」
「4侯国か……? 」
ガードナーのオッサンが言う。
「それしかないギンね」
「ちょっと待ってくれ。その4コーコクってなんだ? 宣伝するのか? 」
「は? 面白くないわよ」
なんだこのクソガキ……。ちょっと恥ずかしかったので、握りこぶしを作り頬を染めながら、
「わ、悪かったよ……」
と返す他なかった。
「で、その侯国ってなんだ? 」
と質問し直した。
「さっきも言ったギンがこのロメルシア大陸はほとんどがアンビジオーネ王国のものギン。そして、中にはアンビジオーネに屈せずに独立を維持している国があるギン。その中でも特に勢力が強いのが、4侯国だギン」
「へえ……。そんな国があるのか……。知らなかった」
「アンタ変なもの売り歩いてるクセに、知らなかったわけ? 」
「変なものとは失礼な! あのキノコはな!美味しいんだぞ!! 」
「でも、大量に売れ残ってたじゃん」
「そ、それは……」
何も言い返せなかった。実のところ、ボア村の人達にも売り込みをしたが、全く売れなかった。何故だろう……。
「俺はな、地図も何も持ってなかったんで、ボア村含めた近場しか知らなかったし、遠出もしたこと無かったんだよ」
「そうですか」
ああ、いつかこのクソガキをぎゃふんと言わせてやりたい。俺はそう誓った。
「話を戻すギン。その4侯国は、そう言われるようになったのはここ最近のことだギンが、みなある程度の力を持っているため、アンビジオーネも簡単には手が出せないギン。だが、逆にアンビジオーネを攻めるほどの力はないギン。そこで、ワシらが行って、」
「同盟を組むわけか」
ガードナーのオッサンが結論を言った。
「そうだギン。ワシらの力が小さすぎて同盟というほどのものでは無いかもしれないギンが……」
「それ以外どうしようもないってことだよな」
アンドレアが右手の拳で左手の掌を叩いてそう言う。
「って、4侯国ってのはどこなんだ? 」
「なんて名前なの? 」
「忘れてたギン。4侯国とは、プティンツィア、ティト、エルハワヤン、スティアーボの4つの国のことギンよ」
この国は流石に聞いたことがあった。ただ、4侯国か……。
「へぇ。そうなんだ〜。最初はどこに行くの? 」
「ここから1番近いのは北東にあるプティンツィアだギン」
「じゃあ、まずはプティンツィアに行くか! 」
「待つギン。そういえばまだ王国軍の話をしていなかったギン」
王国軍とは、アンビジオーネ王国の軍のことである。
「なんだよ。アンビジオーネなんてバカでかい戦力がある、じゃダメなのか? 」
「流石に敵を知らないことにはいかないギン。相手を知ることで、こちらの戦力とすべき目安がわかるギンからね」
「流石に知らない訳にはいかないでしょ……」
と俺を見るアリシア。なんだろう、今日結構アリシアに呆れられてる気がする……。
「アンビジオーネには7傑と呼ばれる最高幹部がいる」
今度はギンの代わりにガードナーのオッサンが答えた。
「7傑?? 」
そう俺は返した。
「アンビジオーネ王国の中でも最高クラスの幹部のことだ。7人いるから、7傑」
「7人もいるのか……。で、どんなヤツらなんだ? 」
「この前アンドレアが戦った炎の剣士カルロス、魔道士セリーヌ、破壊王ガビゴル、銃士ミラ、ドラゴン使いシャーロット、鉄人ロイ、そして大将軍ネルヴィリウスだ。これで7傑。」
「あの時のアイツもか……」
この前戦った赤髪を思い出す。
「じゃあ、そんな大したことないんじゃないか? 」
「そうか……。だが、見くびらない方がいい。特にネルヴィリウスは別格だ。今のアンドレアでは、かすり傷さえ付けさせてくれないだろう」
ガードナーのオッサンは静かに戒めるように言う。
「え?そんなに強いのか?でも、この前のあいつは……」
「だから、見くびるなと言っている。まだカルロスも全力ではない。そして、残りの連中もお前の想像よりも遥かに強い」
「そうなのか……。よく知ってるな、おっさん」
「……まあ、追われてたからな」
とガードナーのオッサンは下を向く。
そういやそうだった。嫌なことを思い出させてしまった。
「すまん」
「いや、いいんだ」
そう言ってくれた。だが、そんな連中に追われてよく無事でいられたな。ますますこのオッサンのことが分からなくなってきた。
「とにかく、まずは4侯国に行くしかないギン」
「そこで、どうなるか、だよな、ギン」
銀吾朗は黙って頷いた。
「さっきも言ったギンがここから北東にプティンツィアという国があるギン。馬に乗って5日くらいはかかるけど、1番近いギン」
「そうか、プティンツィアだな! よし、じゃあ早速行こうぜ! 」
と俺は再び言い、みんな頷いた。
その後、ボア村の人達に挨拶して、馬に乗って出発した。銀吾朗が馬を持っていたので、それぞれ1頭ずつ乗った。アリシアは手間取っていたけど、馬が暴れることは無かったので、慣れるのに時間はかからなかった。
今、始まる。大陸最大国のアンビジオーネを打倒する戦いの序章が――
1章・~完~




