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洞窟の怪しげな婆さん

「ずっと記憶がなかったの。どうしても思い出せなくて。気づいたらガードナーが隣に居てくれてたの」


「なんで……記憶が無いんだ……? 」


「分からないの。ガードナーは何か知ってるかなって思って聞いてみたことはあるけど、全然教えてくれない。そもそもはぐらかされるから、知ってるか知らないのかも分からないし」


 そう言うと一呼吸置いて、


「ただ、王国軍に過剰に怯えているのは分かる。あの兵士達や、コルダードを見ると、頭が混乱してどうしたらいいのか分からなくなっちゃう」


「それは、いつも追われているからじゃないのか」


「それもあるかもだけど、それだけじゃないと思う」


「なんで? 」


「記憶がある日、つまりガードナーといた時に初めて王国軍に会ったのだけど、その時も怖くて、何も出来ずに頭抱えて泣いてたのだけは覚えているから」


 そうか……。おそらく、王国軍に対して相当なトラウマがあったから、記憶を喪失してしまったのかもしれないな。でも俺も、少なくとも5年以上は王国について触れてこなかったから、何があったのかはあまり分からない。


「なんでそれを会ったばかりの俺に言ったんだ?お前、人怖がる節あるじゃん」


 素直な疑問をぶつけた。そんなこと、俺に言ったって何か起きるわけじゃないだろうし。


「さあね。なんでだろ。分からない」


 そりゃそうだろなあ。俺にも分からない。ただ、アリシアとは最初から壁があるようには感じなかったけど、それをこいつも感じてたのかもしれない。


「アンタとは、会ったことがある気がするのよねえ……」


 小さく呟いた。なんだろう。俺も同じような事を思っていた。過去に金髪の女の子に会ったことはあるし、遊んだこともある。でも、アリシアだという確証がなかったし、もう何年も前の話だ。


「それで、どうだ?決まりそうか? 」


 話題を変えた。深く詮索される前に。


「私が何をすべきか、っていうのは分かってるつもり。だけどね、どうしても決めきれないんだ……」


「そっか。まあ、そりゃそうだよな!2日後に祭りあるらしいから、それからでも遅くはねえよ! 」


 元気づけるつもりで明るく言ったつもりだ。それを察してくれたのか、


「うん!ありがと!! 」


 力強く返してくれた。そして、


「おやすみなさい」


 そう小さく声をかけてきた。



 ボアの祭りは神様に感謝する、というのが目的だが、内容はなかなかに険しいものだ。ボアから東に離れたところにある洞窟に赴き、そこにある神へのお供え物を子供達だけで取りに行くというものである。洞窟まではさほど距離はないが、洞窟の中は光が届かなくて暗い。いくら数人で行くとしても、子供だけでは怖いと感じるはずだ。


「子供達が戻ってくるのは夕方だから、もう少し待っててね」


 村のおばちゃんにそう言われたので、俺達は待つことにした。高い岩山にデカい女性の形をした像があるが、それが神様のようだ。神様の見下ろすところには、櫓が立っていて、その周りに木の机が置かれてある。そこで食事でもするのだろう。


 そんなことを考え、子供達を待っていた。子供達は6人いて、どれも自分の腰に届かないくらいの小さな子供だった。おそらく、歳は8つくらいか。



 空も赤く染まり始め、もうそろそろ子供達が帰ってくる時間になってきた。しかし、子供達が帰ってきた様子はない。心配し始めたのか、村がザワザワしていた。


「まだ……帰ってこないのか…」


「どうやらそうみたいだな」


 ガードナーもふざけたマスクをしているが、心配そうだった。


「あの子達、道に迷ったんじゃ……」


 とアリシア。


「いいや、そりゃないよ」


 横からおばちゃんが入ってきた。


「洞窟までは一本道だからね。迷う要素なんてないのさ。それより、兄さん方さ、見に行ってきてくれないかい? 」


「はい。分かりました。ちょっと見て来ます。」


「アンドレアよ。私も行こう」


「あ! 私も行く! ちょっと待って! 」


 こうして、洞窟に行くことになった。



 俺達は東に2キロほど離れた洞窟に向かった。道中は一本道、いや物理的に歩けるところが限られているので、迷うはずがなかった。これなら、子供達も迷うことは無いだろう。だったら、何があったんだ?かえって心配になり、走るスピードを上げた。


「あれが、洞窟だな」


「どうした? アリシア」


 とガードナー。


「ごめん。ちょっと怖がっちゃって。でも大丈夫。行くよ」


 3人は洞窟の中に入り、奥へ奥へと進んで行った。


「おーい! いるかー! 」


「いたら返事してー! 」


 等と3人は叫んだ。しかし、返答は来なかった。さらに奥へと進んで行った。やがて、最深部らしい所にたどり着いた。


「おかしいな……誰もいないぞ。オッサン、アリシア、何か見なかったか? 」


 いいや、と答える2人。どうしたらいいかと考えたその時、地面に少し違和感を覚えた。そこを足でさすると、下への階段が現れた。


「おい! 階段だ! 下りるぞ! 」


 3人は階段を駆け、さらに進んで行った。すると、

 大きな鍋がグツグツしてるのが見えた。


「ウィヒヒヒ……。さあ、キレイな子供達よ。もう少しだ。もう少しだから待っててねえ……。ウィヒヒヒ……」


 奥に眠っている子供達と、上に細長い帽子をかぶった婆さんがいた。婆さんは皺が目立ち、白い目をしていて腰は曲がっていた。子供達は村にいた6人の子供達だ。アンドレアは声をかけた。


「おい、何してるんだ? 婆さん」


 その婆さんは掠れた声で返した。


「ウィヒヒヒ……。坊やたちは、誰だい」


「質問に答えろ。何してるんだ」


「うるさいねえ……。儀式だよ、儀式」


「儀式だと? 」


「ウィヒヒヒ……。私が、若さを手に入れるための

 サ……」


「その儀式とやらに、なんでその子達が関係あるんだ? 」


「必要な具材だからに決まってるだろ… ?! ウィヒヒヒ……」


「その子達を解放しろ」


「従わなかったら、どうするってんだい? 」


「力づくでいく」


「なら、やってみな。おい!チャンプル!! 」


「チャラァァァア!!! 」


「な、なんだこれは! 」


 いきなり大男が横の岩を破って出現してきた。身体はネズミ色をしていて、デカい顔にデカい目に、耳まで届きそうなくらいの口をしており、全体的に筋肉質だった。


「その子達を連れてきな! 」


「チャラァァァァア!!! 」


 チャンプルは子供達を抱き抱え、岩を叩き破りだから上へと飛んで行った。婆さんもそれに続けて上に飛んでいき、3人もそれを追った。婆さんは杖の上に乗って飛んでいたので楽に移動していたが、3人はそうすることも出来ずロッククライミングのようにゆっくり登って行った。


 ようやく登り終えると、青空が広がっていた。周りは草原で、すぐそこには子供達とチャンプル、そして婆さんがいて、止まっているようだった。


「ウィヒヒヒ……。面倒臭いのがもう一人来たよ……。仕方ない。チャンプルはそのお豆さんをおやり。私はこの坊やたちの相手をしてあげないとねェ……。」


「おい、何してるギン」


 この語尾にソプラノ声。すぐに分かった。ギンも駆けつけてきてくれたんだ。


「ギン! その大男はお前に任せる! この婆さんは俺がやる! こいつらは、子供達を生贄にしようとしてるんだ! 」


「そうかギン。承ったギン。こいつはワシに任せよギン」


「ったく、坊やは……。私はね。婆さんじゃあないのよ……。イーサン姉さん! ってお呼び! 」


「村の人達が心配してる。とっとと行くぜ、婆さん」


「生意気だねェ! もうアンタは一生私の奴隷として働いてもらうよ! ウィヒヒヒ……」


 イーサンは杖を取り出す。


「こっちも行くギン」


「チャラァァァ!!! 」


 チャンプルは子供たちを放り投げる。それを見てアリシアとガードナーは子供たちを取り返し、村へ向かおうとするも、


「お待ち! 」


 イーサンは杖に向かって何かを呟いた。すると、大きな結界が現れ、草原を包んだ。


「簡単には行かせてくれそうもないわね……」


 とアリシア。


「2人を倒さないといけないということか。とにかく、我々は離れていよう」


「うん」


「アリシア! ガードナー! 子供達を頼む! 」


 そう放つとアンドレアは双剣を構えてイーサンに向かっていった。





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