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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
大光寺の戦い 天正四年(1576)正月
99/105

天地否 3/5

 ここは新すく()建てた奥座敷。為信は子ら(わらし)()囲まれ、楽すそうにしゃべる(/\)。……あくまで “楽すそう” にだ。


 一昨年に生まれた平太郎(信建)と、昨年の冬に生まれた総五郎(信堅)。なんともめごい(/\)限りだばって()、……心の底より楽すめね(/\)


 隣()は正室の徳姫が座す。(ふけ)えところでどった(_/)()てら()んだか知らね(/\)……。もはや覚悟()決め、津軽家の(かか)さなったらすい(/\)。為信は徳姫()問う。


 “おめは(/\)、幸せが”


 “はい。殿の傍にいるは(/\)んで、幸せでございます”


 万遍の笑みで返すてける(/\)そった(_/)彼女の腹ば(/\)()ると……こんもりと盛り上がっちゃあ()。徳姫はこのようにしゃべっ(/\)た。


 “男二人続いだとこ(\/)で、今度は(めのこ)がよろすい()ね”


 侍女らも共に(かでて)微笑む。


 "……これが、目指すちゅう()平和なんが"


 影()は、地獄で漂う亡霊が()える。


 ……とある春のうららかな日。為信は家来()連れ出す(かでて)、城下()ある長勝寺へと向かった。為信は命ずた。


 “各々(おめら)、気っこ向ぐままに地獄()描げ”


 和尚は、硯と墨や半紙など()配る。黒と白の世界、どった(_/)風に描いてもい。


 (ふと)人目は、なんともありきたりな絵()描いた。鬼が金棒()持ち、罪人たち()懲らすめるべと()すてら(/\)


 二人目は、なんぼか(/\)は絵心があるんた。針の山や灼熱の様ば(/\)ありありと描いてら()。……ただす、心()は響かね。


 三人目はというと……閻魔大王をでっけく(/\)()ちぇえ(/\)無数の蟻のような人間(ふと)がひれ伏すてら()様だった。こった(_/)とらえ方もあるびょん()


 為信も自ら筆()取り、(わあ)()う地獄()描き出す。

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