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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
大光寺の戦い 天正四年(1576)正月
97/105

天地否 1/5

 本陣も大光寺城()進む。座っちゃあ()()抜け、見晴らすのいいんた田んぼの、(ほせ)え畦道()()った。へば()……向こう側の林から、南部の二羽鶴の旗っこ()えた。


 滝本勢七百、大浦の本陣()急襲する。予想外な(みそくたねえ)事態()兵らは(さか)び、倒されてった()。組織すてら(/\)火縄隊は意味ねえ()。敵兵はがばっ(/\)と矢()浴びせかかり、(おっ)ねがる(/\)ところ()討ち取ってく。田んぼ()転げ落ちた(ふと)、泥まみれさなり(\/)ながらも起き上がって、敵兵と取っ組み合いばする(/\)(ふと)。ただす助太刀()()った敵さ(/\)横より刺される。


 為信が危ね(/\)


 まるっ(/\)と捨て、大浦城()戻るべとす。滝本は “あれが為信ぞ” と指さす。敵の意気は高まり、こちら()向かってく。


 (わあ)()は、どこか()行ってまった()。おい、そこの(ふと)()()貸せじ(/\)ゃ。……んだ(_/)そうだ(_/)。大将が死んでまれば()、津軽統一は果たせ()。今は退いて、様子()()るべきだ。


 そん時、為信の乗る()尻さ(/\)、槍が突き刺さる。()は大声()あげ、(たけ)足ば(/\)あげた。為信は後ろ()倒れ、田んぼの泥の中()転げ落ちる。



 兜が外れた。紐が切れる。(なげ)く伸びたあご髭、汚ねえ泥()浸かる。虫など毛ば(_/)(あさ)ぎ、体の至るところば(はけ)る。為信()そった(_/)のば()払う余裕はね()


 ……(ちけ)くの(ふと)が兜()拾い上げ、自らかぶった。田んぼのあぜ道()仁王立ちす、敵兵()()向ける。“(わあ)こそは為信だ” と(さか)び、勇ますく敵兵の中()飛び込んだ。


 為信はなんとか田んぼより足ば(/\)出す。草履はねくし(/\)、裸足のまま大浦城へと()けてく。


 そのうち、異変()気付いた第一陣と第二陣がこっち()来る。滝本はなして(_/)なんず()と襲うの()やめ、大光寺城()引き上げてった。……沼田は本陣()()つけることできねく(/\)(ちけ)さいた(\/)第二陣の小笠原()知らせ(しかへ)た。こちらの兵らも(やわ)くなってたばって()、本陣が倒されてはいくね(\/)えと急い(はけ)で探すたのだ。


 こうすて、大光寺の初戦は滝本勢の勝利()終わ(しま)る。まんず(_/)多く錫杖の旗っこ戦の泥さ(/\)まみれ、神仏の加護だけでは勝てね(/\)相手だと証明すてら(/\)。ただ(ふと)つ、卍の旗だけが汚されることねく()戻ったのは幸いだかな。

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