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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
大光寺の戦い 天正四年(1576)正月
93/105

見果てぬ夢 2/5

外より、落ち葉()()んつける音っこ(ちけ)づく。(ふと)人、戸の(めえ)で止まった。……たて付けのいくね(\/)木戸は、(つえ)押さね(/\)と開か()


 小笠原は、万次()殺さんと現れた。


 万次は床さ(/\)就いたまま(つら)っこ()向け、笑みば(/\)浮かべて出迎(でむけ)えた。小笠原は(ちけ)()寄り、布団の横で座す。


 何もねえ(/\)まま、時っこ過ぎる。


 ……ちっちぇ(/\)え窓からは、秋の(さみ)い風っこが()る。万次のその(やわ)った体さは(/\)きつい。なんぼ(_/)布団で覆っていでも、すみるのだ。


 小笠原は一切表情()変えず、座り続ける。


 そった(_/)彼さ(/\)、万次はしゃべり(/\)かけた。


 「殺す()来だんだが。」


 頷き(こまり)もすね(\/)


 「やりへ(/\)。」


 万次はそうしゃべる(/\)と、布団()わん()つか()足の方へずらすた。首元()隠す物は、何もね()


 小笠原は刀()抜く。静かに、そすてゆっくりと、輝く部分()首さ(/\)(ちけ)づける。そすて刀と首は接す、動き()止める。


 ひんやりとすた感触。氷の冷た(しゃっけ)さのようだ。わん()つか()皮膚と刃がこすれ、(あけ)え血が隙間より漏れだす。


 万次はなおさら笑顔ば作って、小笠原さしゃべっ(/\)た。


 「だばって()、死ぬのは(いて)えな。」


 小笠原の、仏頂面は変わね(_/)。万次は……最後のしゃべりば(/\)始めた。


(わあ)(がわ)()集ま(たが)っで下衆ども(あらんど)。やづら()夢ば(/\)()させでけれた(_/)かな”


安心(あずましく)しへ()仲間(けやぐ)さも()ゃべっ(/\)てらはんで()(わあ)が死んでも……為信()従い続け()ってな”


 片方の手で、()く殺せと急かす。万次は目()瞑り、今にも逝かんとする。


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