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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
長子信建、出生 天正二年(1574)夏
91/105

千徳の姫 5/5

 正月は過ぎ、まんだ(さんび)さが厳しい(つええ)ころ。大浦の城下()は高々と寄へられちゃあ雪っこが、たんげ(/\)積み重なってら。


 為信は、大商人の豊前屋()()ばった。


 豊前屋は、恐れであ(おっかねか)った。もすや罰せられるんでねかと(/\)……。戌姫()茶道の輪に()だのは自分()だす、不貞()報告す(しかへ)(めえ)で事は起きてまった()。覚悟()決める。


 ばって()、予想()逆らった。


 為信はしゃべる(/\)


 「豊前屋。おめ()、安東どの仲()取り持ってけねべ(/\)か。」


 南部家臣が何用で安東と……もすや。


 豊前屋は、為信()凝視すた。為信は頷き(こまり)返す。


 「いずれは、大浦は南部ど敵対する。南方の安全()保っておぎてえ(/\)のだ。」


 願ってもね話っこだ。実は(_)きゃ()……安東様より密命()受けちゅう。“津軽の内情()逐一報告せよ(しかへろ)”と。安東も(がわ)()敵さ(/\)囲まれてら()。北側ば味方()できれば、この上ねことだ。


 すぐさま(はけで)豊前屋は羽州秋田へと出向き、安東愛季()謁見。ここさ(/\)大浦と安東の密約は成った。


 ……雪っこ融けて、春()なる。糠部南方の大名斯波氏は、北の南部領()攻め入った。南部信直は急ぎ(へぐ)()出し、斯波の軍勢と争う構え()()せる。同ずくすて津軽地方()兵糧()出せ(けれ)と求めだ。前年の飢饉がたたり、十分な食料()自前で準備でぎねえとこで(/\)


 為信はこの要求()拒絶すた。


“津軽も飢饉で苦す(へずね)くしでら()とこさ(/\)、戦の為に出せ(けれ)るはずねえべ(/\)こごさ(/\)食料()分げでほすい()くれだ”


 他方では、“治水” の事業も開始。滝本の意向()聞かねえで、手始めに岩木川の上流より手ば付け(ちょし)た。そこは大光寺領でね()ばって()……川の流れっこ変えれば、大光寺領全域()るかす(/\)ことも可能。滝本は憤慨す(さかん)だ。


 んで()、同年六月二八日。第一子の信建が誕生する。幼名は平太郎。男子(わらし)が生まれ、家中の意気は上がったのだ。


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