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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
長子信建、出生 天正二年(1574)夏
88/105

千徳の姫 2/5

 敵は背後(へなか)()斬られて、無残に死んだ。その様()()てら()った戌姫は、ちっちぇ(/\)な太刀()()取る。自らの喉()刺すべどすばっ(/\)て、手が震えてまり()どうすこともできね(/\)かった。


 ……為信は悟った。


 戌姫は、(わー)()すがっ(/\)てら()のだと。


 かつては心通ず合った二人、本心()打ち明けることのできる人物(ふと)は、まんた(/\)(ふと)人減った。正確にしゃべれ(/\)ば既にそうでねの(/\)だが、そうであってほすかった。


 為信は、右手()真っ(しれ)え晒布で包む。次第に(あけ)え血筋がにずみ出でくる。絶え間ね痛みが、全で()襲った。


 ……最初に為信()守るべとすた三人。二人はいくね(/\)出血で、そのまま()くなった。沼田はかろうずて助かったばって()、すばらく出仕はまね()びょん()


 為信は、(ふと)()なったような気持ちに襲われた。行きつく先さ(/\)共に(かでて)祝う仲間(けやぐ)がいね(\/)……。


 血が、晒布の(はした)()伝って床さ(/\)垂れる。(がわ)りの(ふと)慌てて(へぐ)晒布()取り()るべとする。為信は黙って、手当て()任せた。


 傷は(ふけ)く、右手で拳()作ることかなわず。ただただ(ふろ)げたままの状態で、なんぼ(_/)も巻かれてく。


 医()すい()乳井は “今夜(ばんげ)(はえ)ぐ休みへ” としゃべる(/\)。だばっ()て、なんも(/\)眠れるわけね。痛みは続き、心の鼓動も激すい()ままだ。


 ……んだ()。夜中通すて飲み明かそうでねが()。すでに為信()諫める老臣(じさま)いね()。兼平は死に、森岡は去った。戌姫付きの侍女も含め、城内()いるすべでの(めんた)()集め(たがらせ)ろ。


 ……なに、襲うことは()。右手がこった(_/)状態なのに……交わることなどできるか。


 こうすて、(ふろ)間全体()使って宴会が(ふら)かれた。併せ五十人もの侍女は(つら)っこ()引きつらせ、為信の機嫌()うかがう。彼女らの(あだま)の片隅()は、戌姫のこと。彼女の行く末()案ずながら、しゃべら(/\)れるがままに酒ば(/\)呑まされる。


今話を修正してくださった編集者です。ありがとうございました!


だっじ/dacci

@SoraikeYoh



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