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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
長子信建、出生 天正二年(1574)夏
86/105

亀裂 5/5

 為信は悩ますい(へずねえ)


 まず初めに “防風” から手掛げ(ちょし)ばって()、一向に進ま()。松や杉()植えたのはいばって()(つえ)え海風()煽られで失敗。次に藁などで(がわ)()囲い、(さんび)さから守ってみたが、そえでも枯れた。土台が砂地だとこ(\/)で、根付きにけえ(/\)のだ。だば()……と()い、山の土ごと持ってきて、その上()植えさせた。へば()……今度は薪()使うなどとしゃべり(/\)、領民が勝手に切り取ってくのだ。……警護はいるばって()それすら避けて、まるでイタチごっこ。


 海沿いに植林が進めば、平野で採れる作物は増える。領民は目前(めのめえ)の利益ばす()優先す、(とお)け先のことば(/\)考えね。どうすたものか。


 “治水” はというと、まったくまね(/\)。滝本が一向に頷が(こまら)ね。……従わせんには、“津軽郡代” ()名乗るのもいかもと()い始めた。郡代の地位()使って、命令()出す。そこさ(/\)……新たな()ば興すなどという必要も()。なすてなら、大浦の当主は為信ただ(ふと)人なんだはんで()


 あちこち領内()()けずり回る日々。……今年は不作だべか。実りが少ね(わんか)。民が飢えるの()防がねば……と考え込む。


 ……城()(けえ)ると、門前()(ふと)人の侍女が待ち構えてら()。今日の(ばんげ)、戌姫の部屋()行ってほすいとしゃべる(/\)

 珍()いことも起きるものだ。義弟(おんじ)が死んでからというもの、戌姫は(わー)ば避ける。(わー)もどう接すればいいかわかん()


 葬式(だみ)の場で、滝本が放っ(さかん)た言葉っこは忘れられ()


 “おねの(/\)企みだべさ()


 (わー)が殺すたと(しゃべ)ったのと同ず。……殺すてはねば()って、否定もできね(/\)。一時は殺さねでも済むのでねが(\/)とも考えたが、避けて通れ()道だったのかもしれね(/\)


 わっ(_)きゃ()戌姫にはっきり “違え(/\)” としゃべれ(/\)ねかった。彼女は……見抜いたべか()。今となっては分かんね。


 ……夕餉(ばげめし)は簡素な麦飯で()まう。きたる飢饉()備え、贅沢はできね(/\)


 為信は(ふと)息つく。そすて、戌姫の部屋()向かる(/\)

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