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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
大千同盟 元亀二年(1571)晩夏
79/105

二子殺し 3/5

 八木橋は続ける。


「“為信”どいう人物(ふと)は、でっけぐ(/\)なりすぎだ。一代にすて領土()倍以上()(ふろ)げだのだ。」


 んだ()、そえで。


「跡()がへる(/\)鼎丸様。果だすて当主が務まるかして。」


 森岡の(つら)は、険すくなる。


「偉大なる前当主が背後()おり、びぐびぐすながら過ごされるのだ。一挙一動を家来がら()られて、殿ど比べられる……。そのうぢに殿の存在がおっかね(/\)ぐなり、全でがら逃げ去るやも。」


 森岡は我慢できね(/\)。怒り口調だばって()わん()つか()抑えながらしゃべっ(/\)た。


 「……で、何()ゃべり(/\)でえ。」


 「はい。鼎丸様には退いでいだだき、一家臣どすて……」


 森岡は八木橋の頬()叩いた。慌てた沼田と綱則は彼らの間()()る。そえでも八木橋は続げるべとする。


 「一家臣どすて、殿()従っていだだぎだいのだ。」


 しゃべり(/\)切った。森岡はまんた(_/)暴れるべとすたが、沼田と綱則()抑え込まれる。森岡は(さか)ぶ。


 「先代の()()分がんね奴め。」


 “おめはなあ。(わけ)はんで( ̄\)らねん(/\)だべ。先代がどんき(_/)息子(わらし)達の行ぐ末()案ずで死んでったが考えろじゃ”


 息ば切らすてら()。八木橋は腰ば(/\)抜かす、その場から動け()。ここで為信は口ば(/\)開く。落ち着いた表情で、昔ば()い出すかのように。


 「んだな(/\)……その通りだ。」


 “先代より懇願されだ。鼎丸ど保丸()頼むど。……あのやづれようは、()でいられね()がった”


 森岡は静まった。沼田と綱則の手()ほどき、元の場()座りなおす。八木橋はそのままだ。


 話す合いは進まず、わん()つか()すて散会となった。後には為信と沼田が残る。……森岡の乱れ(あらげ)よう()()で……慎重に事ば(/\)成さねばと改めで()った。

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