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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
大千同盟 元亀二年(1571)晩夏
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命乞い 5/5

 珍すい()んたのも起きるんだ。千徳政氏は白装束()身にまとい、為信の(めえ)()ひれ伏すた。為信は、千徳の頭()上げさせ、事の次第()問うた。


「はい……。我ら(わたち)()ぐなる運命。だば()頭っこ下げ、家族や城兵の命だげでもど参上いだすた。」


 九戸派は敗北し、万次党は為信()従った。さらには分家まで逆らうんた。もうまいね()といった心境だべ()か。白髪もわん()つか()増えたようだ。


 ……攻め滅ぼされるより、殊勝な判断か。


 ここで為信の脳は回る。何が最善手が、ありとあらゆる手()考える。千徳はその様()()動揺すた(うるだぐ)。かつて乳井や沼田がすたと同ずように。


 (がわ)()座す為信の家来たちは、恐れ慄く(おっかねえ)。もすや、この場で首が飛ぶんでねが(\/)と。科尻と鵠沼の様に……。


 わん()つか()すて、為信の(まなこ)がばっ(/\)と見開いた。千徳()ゃべる(/\)


 「いやすくも、津軽の一角()担う千徳殿だ。そったに(/\)卑屈()なってはまね(/\)べ。」


 千徳はまんだ(_/)ひれ伏す。為信がなすてそった(_/)ふうにしゃべり(/\)出すが分かんね。


 為信は上座より一段下り、千徳の元()寄る。そすて耳元で言葉()かけた。


 「……同盟()しねえ(/\)が。」


 (がわ)りの(ふと)すべて、聞き取れね。いや、聞こえているばっ(/\)て、理解()超えた。


「もぢろん、領土はこれまで通りでよろすい()。」


 たんげ(/\)寛大な処置……千徳は感動すかけた。たばって()次の句()聞いたとき、気がまんた(_/)沈んだ。


 「大切な妻子は、大浦城()留め置かれよ。新すき商人も来だはんで( ̄\)()やがだぞ。」


 唾()のむ。


 “これがら互いに危機()瀕すた時は、必ず助げ合うべ”


 これは、後に “大千同盟” と呼ばる(/\)。実際には千徳が大浦の手駒()なってまった()出来事だ。


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