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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
大千同盟 元亀二年(1571)晩夏
74/105

命乞い 3/5

 森岡は八木橋()問う。


「そえで、我ら(わたち)はどうすんだが。」


 八木橋は再び(まんだ)苦笑すた。そすて為信()()る。


「滝本様よりも(はえ)ぐ、千徳()討づごどだ。先に浅瀬石()攻略し、滝本様()は退却してけれと。」


 本来だば()共同(かで)で兵ば動かすばって()……一歩間違えれば約束違反だとし、大浦と滝本で戦が起きる。為信は八木橋()問うた。八木橋は強めに(きつく)言葉()発する。


「いずれは戦うごどさ(/\)なる相手。津軽統一のだめ、障害()なる。自明の理でねが(\/)。」


 津軽統一……それは最終手段。わん()つか()(めえ)、為信は滝本()意見すた。津軽()豊か()すために必要なこと。それは “防風” と “治水” だと。


 “防風” とは、浜辺の屏風山()木々()植えること。しゃ()っこい(/\)海風()ねくす(/\)ことにかって( ̄\)、作物の生長()助ける。主に大浦領内のことだはんで()、好き勝手やってけれ()という。


 ただす、“治水” はそうはいかね(/\)。津軽平野()流れる岩木川。治水()行い、田畑()(ふろ)げる……口では簡単にしゃべれ(/\)るばって、様々な利権が関わる。川の流れ()変えることさ(/\)は、川辺()住まう領主や舟運の民の反発がある。大光寺は代々こった(_/)(ふと)らど(ちけ)はんで()、滝本どすても賛同することはできね(/\)かった。


 これら問題()解決する(ふと)つの方法とすて “津軽統一” がある。一人(ふとり)(つえ)え領主の元、改革()推す進めるのだ。すかも南部家中の争いにかって( ̄\)動揺せ(どまつか)ず、自立すた大名どすて。


 為信はそこまで考えたばって( ̄\)、すぐに打ち消すた。まんだ(/\)話す合いの余地は残ってら()し、無下に戦()持ち込むべきもんでね()


 為信は八木橋()制する。


「簡単にそった(_/)ごどば(/\)口さ(/\)すんでね()。」


 八木橋は逆らって、次さ(/\)続けた。


「信直公どで津軽がどうしちゃあ()どごろで、山ば(/\)越えでまで動げね()びょん()。勝ったばって( ̄\)、九戸兄弟はまだ健在。不満()持づ(ふと)たんげ(/\)いたんた。」


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