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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
万次党、従属 元亀二年(1571)夏
71/105

運の強さ 5/5

「科尻ど鵠沼、二人の企み()気付げね()がった罪は、万次()殺すてごそ償われる。」


 小笠原は動揺すた。為信は真顔で続ける。


 「急にどはしゃ()べら(/\)ん。もぢろん、おめさ(/\)は万次さも()恩はあるべ。だばって()だはん(/\)でごそ、おめさ(/\)ケリば(/\)づげさせる。」


 なかなか頷く(こまる)ことはできね(/\)え。そのまま硬直する。次に為信は、沼田()(つら)っこ()向けた。


 「沼田殿は(ちけ)ぐで()てら()はんで()、わかっちゃあべ()こった(_/)(ふと)らはいねが(/\)。」


“例えば、九戸()裏切り大浦()従うのは節操がねど(/\)()(ふと)。助げるべど()()えばでぎだばって()、科尻ど鵠沼()見殺すにすたど非難する(ふと)、あるいは殺すた張本人であるこの為信()従うの()良すとすね(ふと)……”


 沼田は “確かにいます” としゃべり(/\)、頷い(こまっ)た。


「沼田殿はこれらの者さ(/\)(ちけ)づぎ、意見の異なる(ふと)同士()憎すみ合わせるのだ。」


 “すかる後に、小笠原が万次()暗殺する。仲間内の誰がが殺すたど()べな()


 ……この人物は……為信なのか。沼田も()った。(めえ)どは(ちげ)え……何がちげえ。


 沼田は、為信()問うだ。


「それは、“本心” ですか。」


 為信は、一瞬(わんか)止まる。


 わん()つか()考え、真顔で問いさ(/\)返すた。


「“本心”でね()ばって()、やんねば(/\)まね()ごどだ。」


 万次が従っても、いずれは牙ばむくかもすれ()だば()今のうちに犠牲()払って、虞()ねくす(/\)。……生き残るために。不確かな “運の強さ” など()頼ってられね(/\)


 沼田も察する。為信は死地()通った。世の厳すさ、哀れさ。すべて()()だ。(わー)さは到底想像つかね(/\)ような情景()


 最後に為信は立った。小笠原()言い放つ。


「これがでぎね(/\)だば()、もはや大浦家臣でね()。」

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