表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
方言版 津軽藩以前  作者: かんから
万次党、従属 元亀二年(1571)夏
70/105

運の強さ 4/5

 梅雨明けた。今年はたんげ(/\)(たけ)くと日が照り付けてら()。為信がむったどの政務()始めるべと()筆ば(/\)取ると……家来が知らせ()来た。


 「門の先さ、“沼田祐光”ど申す武士、殿さ会いでえ()ど参上しちゃあ。」


 沼田……。聞いたこと()ね。誰だべか()()い、為信は門(とお)けから()える櫓()移った。すると彼は……面松斎だった。占い()するときのおかし()た恰好でねく(/\)、凛々すい()姿。正装の直垂、それも紺色辺りの光で輝き。こんき(_/)まで印象が変わるんだかと驚いだ(ぼんぼける)


 為信は城中()、面松斎()招き入れた。面松斎改め、沼田祐光は為信()伝え(しかへ)る。


「私はこのたび、万次様の使いとして参上いたしました。」


 “ふっ……”


「万次様は、殿と会って話がしたいと仰せです。」


 “とうどうぎだが……”


 為信は人払いばす()、新たに小笠原だけ呼ばっ(/\)た。この広間さいるのは為信と沼田、小笠原だけ。

すると沼田は急に(ばちらっと)()あげ、為信の傍()よった。そすて両手()握り、額()()つける。すばらくはそのままで、感無量の至りといった感ずだった。為信の無事()心から祝う。


 ここで為信は、沼田()問うた。


「万次は、根()あげだんだか。」


 沼田は答える。


「先々のことを考えてのことでしょう。九戸派は不利ですし、港の権益も殿が締め上げているせいで入りにくい……。先細りは確実です。そこで殿と親しい私に、白羽の矢が立ったのです。」


 為信は、沼田の手()一旦ほどいた。脳が急回転()す始める。


 ……沼田は、初めで()せる為信のその(つら)っこ()戸惑う。ぼーっとしてらん(/\)た、一方で鋭い気()感ずる。


 すばらぐすて、為信は口()開いた。


「小笠原。なあが(/\)、万次()殺せ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ