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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
偽一揆 永禄十二年(1569)正月
7/105

岩木山、雪の陣 1/5

……冬は()ぷてえ季節。ずっと春()待つ。


 そった(_/)悠長なことば(/\)、民はしゃべっ(/\)いれね(/\)。秋の収穫はまんず( ̄\)わん()つか()で、さらには相川西野の乱にかって兵糧徴収。在来の民にとっても苦し(へずね)かった。

 為信は家来衆()蔵から兵糧米()施す(ける)べとたんげ(_/)ゃべっ(/\)ばって()、願いっこ叶わねんでら。次の戦()備えてとっておかねばまね()と、煙たがられちゃあ()

 民()苦すめ(へずねくす)ておいて(なん)が戦だと心の中は煮えたぎっちゃあ()ばって()、無理やり抑え込んで平静()保つように努めるすかね(\/)かった。



 “偽一揆” は、雪っこ降りやんだ日に決行された。その日は偶然にも正月であった。万次は他国者だけでねく()、仲間の荒れ狂うのも集め(たがらせ)はんで()、為信の()てら()数よりもよけえ(/\)いた。その数、三百人。

 万次たちの寺さ(/\)近づく音は、降り積もった雪でまったく聞こえね()。聞こえてら()とすても正月だ。法師らは酒やおなご()夢中で、外()(なん)があるかも気付かね()

 ……こった(_/)寺だはんで()、正月に訪れる庶民などいね()


 一揆勢はそのまま山門()突入。荒げねえ()奴らが門()体当たりすると、屋根()積もってら()雪が音ば(/\)立てて下さ(/\)落ちる。中の(ふと)はそれで目()覚ます。ぼんやり(ばふらっと)すてら()うちに、門は解き放たれた。あくまで抵抗しちゃあ()(ふと)もいたばって()……呑んだくれの力は皆無。生き残った山法師らは仏殿で縄さ(/\)かけられ、荒れ狂う(ふと)らの苛めさ使われた。


 解放された(おなご)もまた、餌食となった。


 山の異変()気付いた民の中には、本物の一揆だと勘違いすて参加(たが)る者もよけえ(/\)いて、併せで四百人の規模となる。


 ……岩木山は大浦城より西側。大浦家の領内だ。一揆勢()鎮圧するため、為信()総大将とする総勢千人の兵が岩木山山麓の百沢()着陣。ただす、実質的な指揮権は家来の森岡が持った。彼は大浦家の古参であり、老練な戦上手だ。



 森岡はしゃべる(/\)


(ひけ)え方がら(たけ)え方()攻め入るのは難すい()。山だば()こぢらより雪(ふけ)足ば(/\)どられる。んだば(/\)このまま留まり、相手の兵糧ねくなるのば待づのがい。」


 兵にとっても、このまま付陣す続けるのは苦しい(へずね)。いつすか雪も降ってきちゃ()あ。どんき(_/)松明を燃やしても、(はえ)()まいたいんに代わりね。

 すかす(/\)森岡のしゃべる(/\)事は、勝つためには正すい()。敵は屋根の下で寒さに(つえ)えが、いずれ兵糧はねくなる。こちらは城から送ってもらえばい。加えてあちらは聖域。なるべく血()流すのは避けてえ。

編集者一覧です。皆様、ありがとうございました!


津軽弁MC たろっく

@tsugarujuku017


だっじ@etcSORA

‏ @SoraikeYoh

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