表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
方言版 津軽藩以前  作者: かんから
万次党、従属 元亀二年(1571)夏
68/105

運の強さ 2/5

「戦は、勝づ為にするもんだべ()。」


 政栄は信直()制すた。信直は “(なん)ばいまさら” と歯向かうばって()、そのまま政栄は続けた。


 「相手は大軍()擁す(つえで)、必ず油断があります。()けれ()。本陣()敵の目前(めのめえ)()置くなど、どん(_)だんず( ̄\)。それに櫛引八幡は木々()囲まれ、見通すがまね()。」



“いい機会だっきゃ()


 それも一案だとすて、信直は政栄()任せた。死ぬ刻が今か(ばんげ)かの(ちげ)えだけ。試すに彼のしゃべる(/\)事ば(/\)()()ようと。


 こやって(/\)、六月凶日。信直と八戸勢は櫛引八幡()攻め込む。


 九戸らは酒ば(/\)呑んでら()。敵は小勢、もうわんか( ̄\)で信直()差す出すに違いね。兵ら()も前祝いさせ、唄や踊りっこなど()させちゅう()。輝く月の元、勝ちさ(/\)()るすれる……。すると、小雨が降ってきた。屋根のあるところ()探す求め、(ふと)はばらける。



 竹藪|さ隠れるは野兎。杉の枝()休まるは梟。突如上がった鬨の声()驚き慌てる。源氏代々の神()祀るこの場所は、(あけ)く染められてく。


 武具()うちすて、命かながらに逃げてく。九戸勢は勝利の目前(めのめえ)にすて、大敗()喫すた。桶狭間の如く大将の首はねえばっ(/\)て、十分だ。


 信直と八戸勢はそのまま(ばんげ)を駆け、日昇るころに三戸()襲った。相手は大軍と勘違いばすた(\/)九戸勢は戦うことば(/\)せず、各々離散すた。城内()残るは……病床の南部晴政。外の異変()気付けず、己の痛みさ(やめるの)()耐えるのみ。そこさ(/\)信直が姿()現すた……。


 晴政は(まなこ)()かっと開き、突如現れた信直()凝視する。信直はにやついた。まんず( ̄\)笑いが込み上がる。ああ、殺すべか()さね()か。すべての因がここさ(/\)ある。



 ……津軽さ南部晴政死去の報がもたらさ(しかへら)れたのは、翌年の元亀三年(1572)()なってからだ。信直がこの時に殺めたのか、はたまた苦すみ(へずねく)続けさせることば(/\)選んだのかは定かでね()


 信直勢は続けて九戸城さ進撃する。味方の兵は増し、一万ば優に超えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ