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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
万次党、従属 元亀二年(1571)夏
67/105

運の強さ 1/5

 ……北の国も、梅雨さ(/\)()る。蒸す暑(ぬげ)く、寝るに苦すい(へずねえ)日々。坂東や中央だば()すい()ことでねば(/\)って、陸奥はたんげ(_/)(ちげ)え。この季節で“蒸す暑い(ぬげえ)”というのが驚きなのだ。こったに(/\)()えるんだば()……今年は豊作だびょん()


 その日も雨降ってら()。ざあざあ雨でね(/\)く、すとすとど延々に続く。……夕刻ぐらいか、東の山の向こうから、藁()()覆った急使が大浦城()参上すた。なんぼ(/\)除けば(/\)施すていても、中の服まで濡れちゅう()ずんぶ(/\)水滴がすたたり落ちる。



 “信直公。九戸勢()打ち破り、三戸()奪取”



 ……津軽有事の報()聞いた九戸勢は、一万の兵()率いて信直がいる八戸()向かった。これまで中立()保ってら()八戸政栄()、信直の身柄()引き渡せ(けれ)と要求する。

 対すて政栄は迷った。渡す(けれ)()信直は殺される。渡さね(けんね)()攻め込まれる……。最後に己では決めれねく()、信直自身()判断()ゆだねてまった()


 そうこうしちゃあ()うちに、九戸勢の本陣は目前(めのめえ)の櫛引八幡()置かれた。もう時間が()



 信直は、政栄()別れ()告げた。


“九戸らの横暴は許せねし()、わの(がが)だけでね(/\)(おんじ)()も奪った。だばっ(/\)て私怨にかって()戦い、罪ねえ()()巻き込むの本意でね()だば()最後まで付き従ってけだ()家来らと共に、本陣()切り込み華々すく命()散らそう”


 政栄は涙する。腕で(まなこ)ぬぐう(/\)。情()脆いこの武将もまた、決意()固めた……。



 ……かつて(とっちゃ)の高信がわーさ(_/)ゃべっ(/\)た言葉。


 “生ぎでごその大事”


 そった(_/)ものは、忘れて(わへで)まった()。信直の心()哀すみ(へずねさ)以外の何かがあるんだば()、それは恨み。最期に一泡吹かせ、心軽やかに死んでまり()たい。信直はそう願った。


 家来()も感謝する。まんず( ̄\)慕ってけた()田子の民さも()礼ば(/\)ゃべり(/\)てえ。


 ()ばそろえ、攻め込まんとす。櫛引()続く一本道()駆けるべく、道さ(/\)出る。



 だばっ( ̄\)てここで、政栄は信直()止めた。

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