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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
万次党、従属 元亀二年(1571)夏
66/105

家来を斬る 5/5

 んだば(/\)……小笠原殿ばも()殺すんだか()。兼平と森岡は恐れた。いまや立派な仲間(けやぐ)ねくし(/\)たくね(\/)同志。


 一方で為信()、その気は()なも()(ちげ)ことば(/\)考えちゃあ()……。


 翌日、石川城を攻めた側の軍勢は、もと来た城さ(/\)引き返す。城代とすて家来の板垣将兼()任ずた。……すべて落ち着いたばって、爪痕はでっけえ(/\)。九戸派()付い(たがっ)た千徳氏らはまんだ( ̄\)健在で、虎視眈々とわだち()狙っちゅう()。科尻と鵠沼の黒幕……万次党の存在もおっかね(/\)。津軽は、互いに動くに動けね状況()()る。


 ……城にて、為信は何ば(/\)感ずるか。心身ともに、疲れがたまってら()。ふと、鏡()覗いた。やつれた表情がそこさ(/\)ある。当然だべ()か……すばらく髭ば(/\)剃る暇もねか(/\)った。毎日丁寧(まで)に剃ってら()(つら)っこ()比べ、まるで別人のよう。


 “石川高信公が、目の(めえ)()いる”


 ”あご鬚()伸ばそう” 為信はそう()った。為信の理想は彼だった。わっきゃ(/\)彼のように生きるのできね(/\)びょん()。ひたすら忠義さ生きること叶わねえ()


 (つら)だげでも、高信公()近づきてえ()


 死地()乗り越え、家来()斬った。張り詰めてら()気持ちっこが、やっとで緩む。


 為信はそのまま、戌姫の元()向かった。彼女は申す訳ねえ()表情で、為信()部屋()(むけ)え入れる。その実、戌姫も彼女なりに責任()感ずてら()。鼎丸と保丸の二子は連れ去られた。“わーが(_/)もうわん()つか()()張ってれば防げだのでねが(_/)” と考えてまる()


 彼女は、(こま)べと()すた。


 それよりも先に、為信は戌姫()抱きつく。襖は開いたまま。(つえ)く、ひたすら(つえ)く。


 そすて、泣きはずめた。


 これからは、心とは(ちげ)道ば(/\)歩む。何度も“甘さなどね(\/)” と言い聞かせたが……おめえ(/\)だけさ(/\)はわかってほすい()。本当の為信でねの()だと。


 手前の廊下で、兼平がちょうど足ば(/\)止める。泣げ喚く様ば()て……わん()つか()気持ちが和らいだ。“殿はひでえ(/\)人間(ふと)でね()” と。


 彼は静かに、その場()立ち去った。


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