表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
方言版 津軽藩以前  作者: かんから
万次党、従属 元亀二年(1571)夏
65/105

家来を斬る 4/5

 為信は迷わ()。甘さはなもねえ()


 二人は縄で縛られ、身動きできね(/\)。正座の状態で、救いの裁き()待つ。


 まずは科尻。凶刃は、彼の首()振り落とされる。(がわ)()血のすぶきが飛び散った。隣()座す鵠沼の頬さ1も付く。


 鵠沼は、おっかね(/\)くなった。為信()、畏怖の目で()る。これがあの殿さまなのか。同ず(ふと)なんだかと。


 ここで為信は、滝本()(つら)っこば(/\)向ける。滝本は “わの()こどは(かも)らず、やりへ(/\)” と為信()譲った。


鵠沼の(めえ)()立つ。躊躇うことねく()、科尻と同ずように首ば(/\)切った。


 二人の体は、(めえ)かがみさなっ(/ ̄)てら()。首は、そこらへん()転がる。その様()為信の後ろで兼平と森岡も()てら()


 兼平は為信にこった(_/)一面があったんだか()と心(さんび)くなる。森岡には “当然だ” という気持ちもあるばって()、将来()対するわん()つか()な不安も覚えた。すなわち鼎丸と保丸だ。こったに(/\)冷酷()なるんなら、二子()殺すのもたやすいべな()わは()その時、傍でだまって()過ごすことができるんだか、いやできね(/\)


 事は終わり、為信は後ろに侍る兼平と森岡()近寄る。おもわず、後ずさりすてまった()。為信は二人()問う。“小笠原はどうしちゃあ()” と。


 兼平は、恐る恐る答えた


「実は……自害すべどすておられました。」


 為信が大浦城()戻る(めえ)、家来一同が相談しちゃあ()とき。小笠原は遅れて広間()現れた。鎧兜は身に着けず、普段着のままだった。……彼の(つら)っこは青い。自分付きの家来である科尻と鵠沼が反乱()ちゃあ()んだ。知らね(/\)かったとて、責任は(おめ)え。


 “腹を切り、お詫びいたす” としゃべる(/\)なり、広間の真ん中あたり()座った。着てら(/\)粗末な服ば(/\)勢いよくはだき(/\)、短刀()片手()持つ。慌てて(がわ)りの(ふと)が止めさ()った。


 まね()のは二人であって、小笠原殿はまね()くね()。死ぬよりかは手柄()たて、忠義ば尽くすのがなによりだ。……やっとのことで、()いとどまらせる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ