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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
万次党、従属 元亀二年(1571)夏
64/105

家来を斬る 3/5



 “甘さなどね(\/)” と示す(しかへ)た。んだば(/\)なすて()、二子()助けるんだか()


 わかん(/ ̄)ねえ()うちに鼎丸と保丸共々石川城()攻めて殺すてまれ(/\)ば、後継者はただ為信(ふと)人。立場は保たれ、家督()()る必要は()。後々に何かすらで争う可能性もねく()なる。兵力にすてもこちらは千五百()敵兵五百。後に(たが)る大光寺の滝本勢()併せ二千以上。戦えば勝てる数だ。


 だばって()、敵兵()すべて()下さ(/\)できるとすれば……。元は大浦家の名でかっ(/\)て集めちゃあ()軍勢だ。喜んで(きんびいく)為信()仕えるびょん()。こちらの犠牲も出さねく(/\)て済む。


 二子が城中から()ねくなればどうす。科尻と鵠沼は、支え()ねくす()。兵ら()乳井の仲間()通ずて、不義の輩だと吹き込む。そうなれば、逃げ出すすかね(\/)


 加えて、二子の命()今は保った方がい。助け出せたことで、自ら()の信用は増す。


 乳井さは()、為信がぼんやり(ばふらっ)とすて()えちゅう。それは……表情まで力が(まわん)ねだけだ。頭脳をがばっ(/\)と働かせるとこで、とうとう顔の動き()放棄す(なげ)た。


 生きるために、考える。


 “生ぎでごその大事”


 生き残らねと()()が叶えてえ()ことば(/\)実現できね(/\)


 何ば(/\)成せばいいんだか、必死になって考えてら()だはん(/\)でこそ、ぼんやり(ばふらっ)とすて()える。


 ……全て、為信の目論見通り進む。二子は(ばんげ)闇さ(/\)紛れて城から抜け、為信の本陣()着いた。科尻と鵠沼は数日の間は城中にこそいたばって()、とうとう五月十日の夜に脱出()試みた。


 その様ば(/\)()た城中の兵らは “逃げるんだか()” と罵り、ついには捕らえてまる()。そすて外の軍勢()降伏、科尻と鵠沼は差す出された。


 翌日、滝本軍も現地に合流す(たがっ)た。二人の罪人()目の(めえ)に、どうすべか()と。滝本にとっては主君殺すの大悪人。為信にとっては……昔、火縄の訓練()手伝ってくれた家来。


 彼らは目で訴える(さかぶ)


“殿に、俺らを殺せるのか”


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