表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
方言版 津軽藩以前  作者: かんから
堀越騒動 元亀二年(1571)春
61/105

死に賜う 5/5

 “わあ()のこどは、乳井ど呼んでけえ()


 為信は、薬師乳井の()の後ろ()乗る。……感情の起伏()、どうせばいか()。怒ればいか()(さか)べばいんだか、はたまた嘆けばいが()。……(ふと)つ問う。


なあは(/\)、このごど知っちゃあ()だか。」


 乳井は否定すた。した()ばって()己の仲間(けやぐ)には “救民” の軍勢()参加す(たがっ)てら()(ふと)もいるという。


 ……かつて、乳井は岩木山()住んであった。二年前の正月のこと。一揆勢()大寺()落とされたとき、彼らは出羽の羽黒山で修行すてあった。帰る寺()失い(なくし)、各々特技()生かすて暮らすてら()


 すばらぐすて、大浦家が軍勢()募っちゅ()うと噂っこ流れたという。だば()そこさ(/\)協力す(かだっ)て、岩木山の復興()成すえようど仲間(けやぐ)らは考えた。


 …………


 日は山さ(/\)隠れ、月昇る。為信は大浦城()戻った。家来らはまんず( ̄\)喜び、急い(はけ)で軍議の場へと連れだすた。


 兼平や森岡ら臣は、甲冑で身()固める。城の周りは松明で輝く。いつ出陣すてもい、万全の態勢だ。


 広間にて。為信が上座()着くと、一同はひれ伏す。


 落ち着いだ声っこで、皆さ(/\)問う。


 「今は、どんだ(_/)状況だ。」


 兼平は答える。


 「はい。大浦家()騙る “救民” の軍勢は、堀越()落どし、石川城()占拠。千徳の援軍ど共に(かでて)、ただいま大光寺城()攻めでおります。」


 「首謀者は誰なんず。」


 森岡は大声で怒鳴った。罵った。


 「あの、科尻ど鵠沼だ。はっはっ……笑えら()。」


 科尻ど鵠沼は大浦家の名()使い、軍勢()募った。かつて大光寺の “山奥で秘密裏に兵()集めちゃあ()”話は事実。


 森岡はさらに声ばり()上げた。


 「鼎丸様ど保丸様。お二人の命は奴らの元さ(/\)あり。主筋が(がめ)られだぞ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ