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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
堀越騒動 元亀二年(1571)春
58/105

死に賜う 2/5

 膳が運ばれた。すべでの食器はずんぶ(/\)(あけ)え色っこで、漆が(ひか)っちゃあ。椀の模様は二羽の鶴。汁は透き通り、たんだ(_/)ちゃ()っこい(/\)葉っぱが(ふと)つ浮かぶだけだ。


 大光寺は天井()()でしゃべる(/\)


「毒見は誰がいべか。」


 為信はすぐさま返すた。


「わーがいだすます。」


 政信は頷く(こまる)

為信は政信の(めえ)()進む。椀()両手で持ち、がぱっ(/\)ど汁()飲み干す。ここで、味わう必要はね()


 政信はこれまたわざとらすく、大光寺()すかりつけだ。


 「これ、大光寺。大浦殿の全快祝いなんだはんで()、その “主役” ()毒見()させるどはなん(_)なん()だば()。」


「すいませぬ、若。大浦殿がまんず(_/)手付げるの(はえ)ぐ、止める隙もねか(/\)ったんです。」


 場は笑い()包まれる。ここで為信がおどける。


「申す訳ねが、もう一杯けれ()へえ()。がぱっど(/\)(はえ)ぐ飲みすぎだはんで()、十分に味わってねえん(/\)だ。」


 (しるま)からの宴は和やかに進んだ。


 途中で政信は、自分の城から連れて(かでで)きた侍女(おなご)()広間()招き入れる。皆に接待()させるためだ。


 政信の隣()久子が侍った。為信と目っこ合う、哀すい()視線、無言の訴え。政信はその様()ってら(/\)知らね(_/)んだか、久子()腕で己の体()寄せる。酔いに任せで抱き付き、口吸い()する。目は為信()向けながら。


 その様ば(/\)()はんで()か、為信は胸()違和感()覚える。なんだべか、これは……。


 “冷静に冷静に……心静まりへ()


 そのうち、鼓動の激すさ()が加わる。これはまね()と、厠へたつ。がわりの(ふと)は “便所が” と為信()指さしあざ笑う始末。酒の呑みすぎて吐くんだべ()かと考えちゃあ()か。


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