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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
堀越騒動 元亀二年(1571)春
55/105

不穏 4/5

 悪寒(さんびさ)で震え、ひたすらこごえる。とてもじゃあねえ()ばって()、布団より外()出ることができね(/\)え。為信は病()かかり、寝所にて休む。


 そこさ、(かが)の戌姫と養女(めのこ)の久子がやってきた。今は母親(あば)(めのこ)のなんだばって()……まるで姉妹のよう。現に彼女らは二つすか(とし)っこ離れてね()。為信は(はえ)くも(おやず)とすて、(わらし)()送り出すことさ(/\)なった。


 侍女は額より袋()取り換える。最初は氷だったばって( ̄\)、今ではぬるま湯と化しちゃあ()。戌姫は“変わるが” と侍女さ聞くばって( ̄\)、断られてまる()。なすてなら娘の婚儀()付き添うんだ|はんで。病()移してはまね()


 「……ついでけれねぐ(/\)で、すまね(/\)え。」


 為信は久子()謝った。久子は首ば(/\)振り、“お気持ちだけで、十分だ” と応えた。ばって( ̄\)、心の中はたんげ(_/)複雑い(つれえ)びょん()。お()のためとはいえ、(わけ)くすて親元()離れるんだはんで()……。


 為信はやっとのことで体()起こすた。そすて久子さしゃべり(/\)かける。


「わーも、おめど(/\)同ずぐらいの時に親元()離れだ。嫁ぐだば()、いづがは通る道がもすれね(/\)。」


 “……覚悟いだすております”


 雪(ぶけ)え中、祝いの列は発する。親代わりとすて戌姫は石川城まで送る。……実の(おど)である兼平は、(たけ)え櫓から列()()づめる。ついて行がね(/\)。取り戻すたい気にさせられるはんで()。今でさえ、手ば(とお)けへ伸ばすてら()。 “……老いだんだな()” と、己の(まなこ)ばぬぐった。


 ……物音静まったのち、為信は(ふけ)え眠り()つく。これまでの疲れが噴ぎ出てら(にだった)かのよう。夢ば(/\)()ることもね(\/)


 目覚めると、傍ら()男が座ってら()。いかつい(つら)ばしちゃあ()。床には(しれ)く塗られてら()木の箱が置いてあり、小皿やすり鉢が手前(てめえ)さ用意されちゃあ()


 侍女はしゃべる(/\)


「薬師様がお待ぢでございます。」


 “おお、そうが。それはすまね(/\)がった”


 為信は、そのわん()つか()楽になった体()起こし、薬師の方()曲げた。


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