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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
堀越騒動 元亀二年(1571)春
54/105

不穏 3/5

……二人()待ってら()間、一日千秋の思いが(つんづ)く。無事に戻れっか(/\)、信直様から一筆頂くことができるか。大浦家の運命がかかっちゃあ()


 そった(_/)とき兼平は話っこあると、為信の書室()参上すた。……彼の素性()教え(しかへ)ると、兼平氏は遠く大浦の分家より発する。名は盛純と言い、今年で四十五()なった。年頃の(めのこ)と元服済みの息子(わらし)がいる。


 娘の名()久子というばって( ̄\)、郡代の政信()側室とすて差す出すよう提案すてけた。兼平はしゃべる(/\)


 「まんず( ̄\)は殿の養女さして(\/)、そのうえで石川家()嫁がせます。」


 為信はむずがる顔っこ。兼平()問う。


 「養女どしゃべれ、一応は年下だばってろ……そった(_/)に変わらねえべ。」


 兼平は、落ち着いた様子で答えた。


()の為だ。」


 ……すなわち、人質だ。これで石川家は安心するべし()、政信さ可愛(めんこ)がられたら、たんげ(/\)いいびょん()(わらし)も生まれれば、石川と大浦の関係は強固なものとなる。


 ばって( ̄\)為信の気は引ける。はたすて、そった(_/)にやらせていいべか。家来にいらね(/\)負担ば押す付けてら()ようだんた。兼平は察すたのか、次のようにしゃべっ(/\)た。


「……家来は、()の為に尽ぐすもの。存分に使ってけれ()。」


 為信は “これが戦国の世だべ” と、改めて感ずた。わん()つか()他人事のような感も受けるが、それはまだ厳すい()世界()知らね(/\)だけか。


 いや、“厳すい()” だけなら知っちゅう()。がっぱど(/\)出来事()経験すてきた。だが、為信()待ち受ける運命。それは過酷で悲惨、自ら()の手も汚す。


 ……~そっか(_/)ら十日以上経ち、鵠沼と科尻はみごと役目()果たすた。無事に八戸()たどり着き、信直と面会、一筆()いただき大浦城()帰参。次に政信()書状は渡され、兄のしゃべる(/\)言葉()(おぼじ)は従いざる()得ねかった。大光寺は……まんだ()疑っちゃあ()ばって( ̄\)口ば(/\)つぐむ。


 そこへ、養女久子の縁談()持ち掛ける。大光寺はそい()だば()たんげ(_/)喜び、一周忌の法要は無事に行われることさ(/\)なった。


 落着すたところで気っこ緩んだか、為信はまね()風邪ば(/\)引く。


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