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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
野崎村焼討 元亀一年(1570)初冬
51/105

火は放たれた 5/5

 同日、万次は科尻と鵠沼も呼ばった。稲荷の社殿で、仲間たち(あらんど)が談義する。外の暗闇とは別に、よけえ(/\)な灯で中は明るい。


 “火っこ放だれだ”


 三戸での騒動は、津軽さも()飛び火す。その動き()使わね()はね()。誰もがそう()った。


 万次は科尻と鵠沼()問う。


 「準備は進んでらが(/\)。」


 二人は静かにうなずいた(こまった)。がわりの(ふと)は不敵な笑みば(/\)漏らす。万次はその皺だらけの(つら)こば()にやつかせちゃあ()


 「……()たちはがづで、相川西野ど仲間(けやぐ)だった。彼らは石川らの軍勢ど戦った。つまり()たちの敵は石川ともいえる。」


 固唾ばのむ。


 「今、石川の敵は誰だ。それごそ九戸だ。……敵の敵は味方。つまり、()たちど九戸は仲間(けやぐ)どだりえる。」


 万次は講釈()垂れだ。


 「そった(_/)風に、相手も思ったらすい()。あぢらより使いが来だ。」


 “おおっ” と歓声が上がる。ある者が問う。


 「ばって( ̄\)よぐまあ……わーら(_/)のような者さ(/\)まで味方に付げるべど考えちゃあ()な。」


 九戸は、何とすても津軽の牙城ば崩すたい。万次は続げだ。


 「あぢら必死なんだべ。たんだ(_/)……最近になってかでた(ふと)らもいる。勝ぢ目はすでに()えでらぞ。」


 破顔すた。


 酒ば(/\)呑め呑め、鯨肉ば()いへ。今日は前祝いだ。自ら奥より大樽()運ぶ。豪勢な食い物()野郎(あらんど)()運ばせる。


 万次はでったら(/\)だ器()持ち、トクトクと清酒()注ぐ。大口()開けで、がっぱど飲み干すた。ある(ふと)は踊り、ある(ふと)は歌う。すでに正月が来だがのようだった。


 “我らが津軽()征する”


 これは、夢でね(\/)


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