火は放たれた 4/5
赤くでったらだ鳥居の真下、万次とその野郎どもが面松斎ば出迎えた。面松斎はいぶがすく思ったが、とりあえず挨拶ばする。万次は面松斎さしゃべった。
「すばらぐ、わあのそばさいろ。」
最初、意味が分からねかった。
「占い稼業はすてもいばって……わあの目の届ぐどごろがら離れるな。」
そう聞かされると、野郎たちが面松斎の腕ばつかむ。“何が為か” と問いただすと、万次はしゃべった。
「……それば占ってめへえ。」
面松斎は前まで暮らしちゃあ小屋まで引っ張られ、一人さ足蹴りまでされだ。
“よからぬことが起きるのではないか”
そう、直感すた。
“……ここには道具がある。筮竹を持つ。当たるも八卦、当たらぬも八卦……”
本掛……震為雷
これば、どう捉えでばいいべ。第一これは己のことか、万次らのことか。考え方一つでたんげ異なる。
“……ひとつ言えることは、大きなことがこれから起こる。かもしれない”
どこまであたるかは、定かでね。己が一番わかっちゃあ。
ふと、昔の八卦ば思い出すた。為信ば占った時に出た本卦は“風雷益” ……結果とすてい方向さいったが。もす “震為雷” が為信と関係あるのなら、何ば示すべか。奇遇にも“為” の字が入ってら。
何にせよ、当分は為信ど会えね。為信も高山稲荷さは近づけね。
“……もしや、それが狙いか”
ということは、為信の身さ何か起きる。