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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
野崎村焼討 元亀一年(1570)初冬
48/105

火は放たれた 2/5

 兵らと手伝っちゃあ()村人は、野崎村の外に置かれた本陣()戻った。日は頂天より下がり、ふと時もせば()沈むべか()という頃合い。為信は、火()放つことば(/\)命ずた。


 ……火()放つのも、訓練の一環だ。風の向き()読み、いいんた藁の量()計算し、燃え(ふろ)がりよう()予測する。先ほど(さきた)までは北より南()向かって風吹いでたばって、今は西から体()当たるようになっちゃあ(~)


 村より北西()、火打石にで光が起こる。火花は藁()飛び、次第に黒煙()起こす。それはわったど(/\)燃え(ふろ)がり、たんげ(_/)な勢い()持った。


 ……そこさ(/\)冬の(さんび)さなどねく()わん()つか()(とお)()いても熱さが伝わってきた。兵らは為信の指示(いいづけ)()従い、中から逃げでくるんた()敵ば(/\)想定すて、刀()持ち弓ば(/\)手前(てめえ)()備える。


 火()囲み、兵らの(さか)ぶ声と囃す(ちゃかす)声。津軽は今、冬()()るべとしちゃあ()それさ(/\)抗うかのように炎ど共鳴する。なんと心()響く情景が。


 ばって( ̄\)、その流れは遮られた。


 "……ん。なんだ、一人だけ(ちげ)え声。……いく聞け、静まれ。……村人の(ふと)人、まんだ()戻ってきてね(\/)だと"


 炎は激すさ()増す。もうまね()んでねか()、見知ってら()(ふと)の肝は冷え切り(しゃっけくなり)、悲観する限り。為信自身も、まさか犠牲者がでるとは()いもしね()かった。……民こそ大事なのに。


 その時だった。


 (ふと)人の若武者、村の中()突っ込んだ。彼()()求める心はね。たんだ( ̄\)(ふと)の命()救うべという意思だけで動いたのだ。(さき)たまで功()あせり(しれ)え旗()求めた猪武者らが動かね(/\)のはなんとも皮肉。


 (がわ)りの(ふと)は必死に呼び止めたばって()、若武者は止まん()かった。姿っこ消えた……。


 為信は陣中より外()出て、野崎村()()つめる。(あけ)え世界が目の(めえ)()(ふろ)がる。その中()人の影はねか(/\)……。


 すばらぐすて、奴は現れた。鎧は煤まみれだが、村人ともに無事だんた。息()すく()吐きつつも為信の(めえ)まで参ず、助け出すたことば(/\)伝えた。名ば()訊ねると、この(ふと)は田中という一兵卒(したっぱ)。後に起こる六羽川合戦で為信の命()救うことさ(/\)なる。

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