表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
方言版 津軽藩以前  作者: かんから
野崎村焼討 元亀一年(1570)初冬
46/105

密談 5/5

(こま)けんた()伝え(しかへ)ねで、“村ば(/\)焼討する” とだげしゃべれ(/\)。」


 兼平と森岡は驚く(どってこぐ)。森岡はまんだ( ̄\)文句()投げるべと()すたが、先に為信が制すた。


 「(わあ)命令(いいづげ)で、どんき(_/)の家来や兵が動ぐが試すてめでえ(/\)。それが乱暴な(あらげねえ)話っこだどすても。」


 家来たちの中に、いまだ心服すてね(/\)(ふと)どんき(_/)いるか。参ずた者は、為信がために忠()尽くすびょん()


 ……森岡は口()つぐみ、だまって頷い(こまっ)た。彼はすでに “単なる婿殿” と()でねえ。ほかの(ふと)も“為信公は優秀だ” との評だ。ただす、それが本心かどうか。ほかの(ふと)につられで、話っこば(/\)合わせてら()だけかもすれね。婿(もこ)殿はそこが心配(へずねえ)べか()


 森岡は “やるべ” と為信()ゃべっ(/\)た。兼平もそれさ(/\)続いた。かくすて三日後、“焼討する” と大浦の家来衆()命が下された。訳は伏せられたままだ。


 敵の陣地()燃やすにくのならまだすも……自領で、一揆や反乱が起きたわけでね()。罪ねえ()()下すのかと、行動するのは躊躇われだ。


 すかす……殿のしゃべる(/\)事だ。何か考えがあっちゃ()あかもすれね()。かつて偽一揆()秘策にて(しま)らせた手腕、これまでの統治能力の高さ。いきなり朦朧するはずがね()


 結果とすて、ほとんどの家来と兵が野崎村()(たが)った。


 天上は青い。空風は()つけて、落ち葉が田んぼのあぜ道で舞う。千五百の兵は、誰もいね野崎村()囲む。いよいよ中()向かうかと、兵らは意気込んでら()


 ……森岡も到着す、村のことはまる()っと()くしたと為信()伝え(しかへ)る。ここで兼平は皆さ(/\)ネタっこばらすた。軍事演習は、手際いく村ば(/\)包囲することから始まる。刀()持つ(ふと)、槍()構える(ふと)。銅鑼や太鼓()もって、中の敵ば(/\)怯え(おっかね)がせる(ふと)。これら()いかに()いんた風に動かすか。これは家来だけでねく(/\)、大将の訓練でもある。同ずくすて、(まなこ)()家来ら()向ける。動きのいい(ふと)、際立つ(ふと)あるか。


 ……日は(たけ)く昇る。兵はさらに集ま(たが)る。


為信は頃合い()()計らい、皆さ(/\)命令(いいづげ)()した。


 「これより兵()二隊()わげる。目標()()潜ませでら()がら、先にそれば(/\)()づげるごど。民家や道にはわったど(/\)罠を仕掛げちゃあ()はんで、気を付げで進むように。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ