表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
方言版 津軽藩以前  作者: かんから
野崎村焼討 元亀一年(1570)初冬
43/105

密談 2/5

 久慈信義は為信の兄だ。彼の手紙は秘密裏に大浦城()届けられた。為信は大変(ただでねく)驚き、(ばんげ)(おへ)くに兼平と森岡()呼び寄(こさ)せる……。


 ろうそくの火っこは揺れながら、燃え続ける。しゃべる(/\)(ふと)の反対の方()(けむ)がたなびくかと()えば、もう(ふと)人の(つえ)え息遣いでまた別の方()流れる。


 為信はしゃべる(/\)


 「……悩ますい()。」


 九戸()とるか、信直の下さ(/\)つくか。大浦家の行く末が決まる。判断ばま(\/)ねくせば()()は滅びる……婿殿にとって、荷が(もえ)え。


 兼平は口ば(/\)開く。


 「恐らぐ、他の()さも誘いがあるびょん()。」


 津軽()石川家が()って日は(あせ)え。石川高信公は既に()く、次子の政信が新たに郡代となった。もす先代が存命だば、軍()率いて助け()行ったびょん()たんだ(_/)政信公はそこまで至らず。今回のことで彼の決断力の鈍さがでてまった( ̄\)


 諸氏は情勢()どう(かんげ)てらか(\_)。……石川家の下、津軽ででったら(/\)だ力()持つのは主に三家ある。大光寺、千徳、そすて大浦。大光寺は石川家随一の重臣、千徳は穀倉地帯()有する。大浦家は港から金銭(じぇんこ)の収入が(おお)けだ。この三氏のいずれかが九戸につけば、均衡は一気に崩れる。


 ……ここで森岡は、兼平()耳打ちばすた(\/)。兼平はわん()つか()戸惑ったんたばって、しゃべる(/\)こと()許す。


 「殿、これまで通り信直様()つくのがいいと存ずます。」


 為信はいぶかすむ。森岡は続けた。


 「実は……(わー)ど兼平は、()でますた。鹿角合戦で殿が信直様()お助げ()なり、手柄()譲っ()ことば(/\)。」


 兼平もうなずいでら()。為信は困惑こそすたが、すぐに真顔()戻すた。二人()問う。


 「他の者()知れでらの(/\)が。」


 兼平は即座に嘘()返す。


 「いえ、二人だげの秘密にで。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ