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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
屋裏の変 元亀一年(1570)秋
41/105

毘沙門堂 5/5

 堂()囲む後ろ()、信直の味方が現れる。晴政の軍勢()挟み撃ち。火縄への恐れ(おっかなさ)も重なり、兵らは逃げ惑った。丘()下り、迫る敵()はねのけ、元来た方()引き返しちゃあ。


 ただす晴政はふととも()撃たれたはんで、思うんた(ふう)に動け()(がわ)りにいた兵らは仕方なすにその(おめ)え体()支え、一時だけの隠れるところ()探すた。……すると、猟師の納屋が目さ(/\)映る。急いで(はけて)その中()()る。


 信直の兵はそれば(/\)()逃すていね()かった。すぐさまお上()報告す(しかへて)、彼はその納屋()鉄砲隊で囲む。立場は逆転すた。


 信直は、兵らにわざと壁の上側さ目標()向けさせた。そすて乱撃ち()させる。……実はいうと、さきた晴政の右のふともも()撃ったのは正確だった。心の臓()狙うより、永遠の苦すみ(へずねさ)ば味合わせらべ()という(かんげ)えだ。


 納屋の中は、銃声()怯え(おっかなが)る羊ら。すでに命は敵のもの。


 ……信直は、笑顔だ。月の光さ照らされると、それは人間界のものでね()。悪霊が乗り移ってらん(/\)た。


 一刻過ぎ、大半の敵兵は逃げ去ったころ。屈強な武者が()さ跨って、信直の方()(ちけ)づいてきた。彼は晴政の企み()教え(しかへ)てけた北信愛だ。


 北はたんげ(_/)深刻な顔で、(_)たらに( ̄\)怒鳴る。


 「何ば()しちゃ(_/)あんだな()。」


 信直は平然(つけらっ)と“主君殺しよ” と答えた。北は続ける。


 「なあば(_/)()い憚って、難がら避げていだだぐべど()教え(しかへ)たのに……馬鹿殿。」


 そうしゃべる(/\)なり、信直の頭から兜()奪い、力強(きつ)く投げ捨てた。


 「城では大殿()救うべど、他方さ援軍()頼んじゃあ。九戸勢はもう(いとま)かで到着。そうなれば……こった(_/)小勢などひとだまりもね(\/)(わー)どで、なあば(_/)討だざる()得ねぐなる」


 “ふん、(かが)の仇だ。魂()救うだめだ”


 北の、あぎれようは半端()


「なに()……翠様は生ぎちゃあ。」

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