初めての策謀 3/5
「ある。」
為信はすぐに答えた。
「事成るんたば、他国者さも禄ばけるべ。なあはどうだべ、面松斎。」
"他国者が為信の家来になるということ……。彼らにとっては、たいそうな驚きに違いない。しかし……"
「金はどうするので。一揆も何かと物入りですぞ。」
「鯵ヶ沢の理右衛門から借りる。あやづなら他国者さ心っこあるべ。私ども親すい。」
長谷川理右衛門……。船問屋である彼は、わったと他国者ば津軽の地さ連えてきてだ。為信と同様、他国者の扱いばまねく思ってら。
「では、為信様は本当に我らを雇えるのですかな。周りの者が嫌がるのでは。」
「心配いらね。私の手柄でかって、そっただわごどばしゃべらせね。」
"若様よ……そのようにうまくいくものか"
「もし、一揆に失敗した場合はどう責任を取ってくださる。」
その時は、さらに他国者の立場はまねくなる。
為信は瞑る。……突然カッとば目っこ開き、面松斎さ訴えた。
「このままでおめらはいのが。」
"生意気な…… “おめら” なんて"
「おめらにすてみれば、進むも地獄、止まるも地獄だ。こごでいいんたば禄さありづげるだけでね。しゃべればわがるんだなど、在来の民はわかるべさ。そっから話しっこ始まるんでねが。」
まだ、早口は治んね。
面松斎は……筮竹ば手さ持った。当たるも八卦、当たらぬも八卦。……占いなど、もともとは為政者が民ば従えるための道具に過ぎねかった。それに、占いの修行などすたことね。真似てるだけ。
偽占い師の結果がでる。
本掛…………“風雷益”