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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
屋裏の変 元亀一年(1570)秋
39/105

毘沙門堂 3/5

「“()放され”どはなん()なん()だば()。」


 信直は鋭い眼光()放つ。使いは答えた。


 「んだば(/\)。娘の翠様は大殿ど喧嘩()なさり、城()お出になられだ。その後は行方知れず、自害すたど伺っちゃあ()ばって()。」


 信直の家来らは慌ててまっ(/\)た。中でも泉山は額()()あて、“なんちゅう()ことば(/\)……”と戸惑い()せね(/\)。信直には(かが)ことば(/\)秘密にすてたのに。


 信直は初めて聞く。愛す(めごが)(かが)が死んだこと。たんげ(_/)冷静でいられねかった。ほかのことだっ()きゃ()(どう)ずねえ(_/)びょん()


 心()できるだけ落ち着かせるべと()(まなこ)()瞑り心()()当てる。……鬼は、姿っこ()せた。


 信直はいきり立つ。その場で宣言()すた。


「晴政()討づ。」


 家来で止める(ふと)いね()がった。まんず( ̄\)止められるわけね(\/)。使いの者は急い(はっけ)(けえ)ってく。


 "……毘沙門堂か。林に囲まれた丘の上さ(/\)あり、石段は百もある。()は三戸()参上するどき、むったど(/\)泊まっちゃあ。晴政はぎっと、そごば(/\)囲んで一網打尽にするづもりだべ()"


 ……逆手に取る。


 信直は家来のいる部屋()後に、館にある倉庫()向かった。その中でも奥、たんげ(_/)奥。


 長え木箱が十ある。そのうちの一つのふた()開けると、布()何重にも覆われた長え筒。


 “晴政は、火縄の威力()軽く()ている”


 信直には先見の明がある。前々から蓄えてきた代物……。家来のえりすぐり()集め、訓練()重ねてきた。初めで役に立つときが、まんず(/\)主君殺しとはな……と、()の不思議な運命()想う。


 数日後、信直一行は田子より三戸()出発。三戸城より川()挟んだ向かい側、毘沙門堂()()った。


 戦の火蓋、切って下される。


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