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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
屋裏の変 元亀一年(1570)秋
35/105

妻との別れ 4/5

 今度の年貢は望めねえ。ヤマセはやわく、日は高々と暑く照りつけ、作物の育ち(おがり)いか()った。ばって(_/)でっ(_)たらだ( ̄\)嵐で、がぱ()っとなぎ倒されてまった()


 株大根のような土物はいいばって……米はまね(/\)。農民の暮らす()直結する。この分だば田子はおろか、三戸辺りも不作だびょ( ̄\)ん。


 信直は家来ら()命ずで、自らも率先すて後片付け()始めた。失っ(ねくし)(ふと)()館に()ばり、誰かが死んだ()さは葬儀だみ()だすて()ける()。田畑も共に耕すた。これぞ為政者の鏡だ。


……救民()明け暮れで、夏は過ぎようとすてら(/\)そった(_/)とき、いく()でね()話が三戸からもたらさ(しかへら)れだ。家来の泉山早馬で、畑()耕す信直の元()参上す(はっけ)た。


 彼は息()切らし、今にも倒れそうだ。信直の泥がついてらつらっこ()()るなり、そのかすれた声っこで訴えた。


 「大殿、大殿が……。」


 “なした(_/)。大殿がどうすたのだ”


 「兵()集め(たがらせ)ております。」


 (がわ)りの者は鍬()止め、泉山さ目ば(/\)移す。彼は続けた。


 「大殿は兵()集め(たがらせ)、若()討たんとしちゃあ()。」


 泉山は、その場で力尽きる。体は横()倒れ、気()失った。慌てた(泡喰った)(がわ)りの農夫は彼()館へと運び、気が戻るの()待った。


 ……南部晴政は、田子信直()討たんと五千の兵()集め(たがらせ)た。“信直はまんだ離縁せず、それはきっと後継の目()諦めてねえはんで( ̄\)だ” そのように九戸政実は讒言すた。


 泉山はその話っこ()聞き、飛んで田子()戻ってきたのだ。


 信直は憤り()隠せね。台風の被害で民が苦すん(へずねえ)でら()こった(_/)ときに、何()考えちゃあんだかと。田子と三戸も荒れ様は同ずと聞く。大殿さ、民の声っこ届かねのか。


 本来だば、こちらが引き下がるいわれはね(\/)。正々堂々と戦ってもい。


 すかす……民は戦()望まぬ。特にこのたびは無益の極み。おの内輪もめ。


 ……信直は隣にいたった農夫から手拭い()借り、泥っこ付いたつら()拭い(ぬぐっ)た。そすて、離れさある一室へと向かう。


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