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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
屋裏の変 元亀一年(1570)秋
33/105

妻との別れ 2/5

“いってえ、(_)なん()だば()



 信直は困惑すた。大殿は、(めのこ)返せ(よごへ)としゃべっちゃあ。……盲目すてら。後継をとられることば(おかな)がって、ここまですとは……。


 信直はしゃべる(/\)


 「……大殿も心ば落ぢ着がせば、いずれ撤回すべが(/\)……。」


 「殿、ではどうすば(/\)。」


 心は決まってら。“離縁するはずながろう” とそっぽ()向く。第一、後継のことなれば九戸実親も離縁すねば(/\)なんね()と、不公平だとも感ずた。


 家来らはうろたえてら。“もす大殿のお考えが変わんねば(/\)どうすば” “お子(わらし)はどうなるべか()” とめどなく信直()問いかけてくる。


 信直は(さか)んだ。


 「あーうっせえ。かっ()ちゃく(\/)ちゃ()(_)。」


 わー()だって、同ず心うちだ。わざわざしゃべら(\/)ねえ( ̄\)でもわかってら(/\)。……念のため、手()打っておくか。


 「泉山、頼めるが。」


 家来の泉山は信直の元さ(/\)駆け寄(はっけ)る。


 「お(めえ)さ頼むじゃ。今がら三戸()向がえ。北信愛殿にこの件()しゃべってけれ、大殿()諫めでけれ(/\)じゃ。」


 「早急に致すます。」


 泉山はでっけく頷き(こまり)、小走りで部屋()後にすた。信直はがぱっ(/\)と息()吸い、そすて吐いた。


 残った家来らさ問うた。


 「すて()……裏さ(/\)いるのは誰なんず( ̄\)……。」


 “九戸殿だ” ”九戸すかね(\/)“ と口々()ゃべる(/\)


 九戸さ、恨みは募る。口車()乗せられた大殿も問題だが、彼はあくまで()より(はえ)く去る人間(ふど)。同ず時ば(/\)生きる九戸兄弟()(はえ)えうちに何とかすて()おかね(/\)ど、安心すて(あずましく)れね()


 信直は気分()変えるため、館の外()出だ。風がわん()つか()(つえ)え。南から吹いてくる。

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