最後の鷹狩り 5/5
その夜、石川高信は鷹狩に参加すた諸将ば堀越の別荘さ招いた。そこからは鷹狩ばすた高岡が見え、昔はここさも城があったんた。他にも大浦城や石川城などの重要拠点も目さ入る。郡代とすては将来的に津軽の中心地とすて、ここさ城ば建てる考えがあったのかもすれね。
田子信直は、自分の妻も連えてきた。つまるところ、彼女は当主である南部晴政の娘でもある。気高く止まることねく他の侍女とともに、諸将ばもてなすちゃあ。
ときたま信直の元さ駆け寄り、仲の良さば見せちゅう。酒ば注ぐのは当然のこと、主人さ何かにつけて冗談ばしゃべる。信直は苦笑すて何かしゃべり返しちゅう。“仮面” では、あった振る舞いはできね。為信の心っこには、うらやますさもあり、逆に己のふがいなさも感ずた。
高信の家族は、宴会が終わり諸将らが引き上げたあとも、昔語りなどばすて楽すく過ごすたらすい。
それから十日ほど経った後、石川高信はこの世ば去った。南部晴政の甥とすて、一族の重鎮とすて、遅く生まれた信直と政信のため……たんげ働いた。充実すた生涯だったびょん。
為信と妻の戌姫は、葬儀さ参加すた。煙っこは西さ流れる。極楽浄土はあちらという。武者だば、人ばわったと殺す。地獄は覚悟すねばまいね。……高信公はあちらさ行けたと願いてえ。
為信にとって、石川高信は一つの理想であった。戦さ強く、機ば見逃さね。見習うべきところはがっぱある。
戌姫は、為信の方ばちらりと見で、元の方さ戻す。妻にも、本気で悲すんでらことくらいわかる。……はたすて、私の調子が苦しい時、妻は汗ば拭きとってけるべか。……高信公の奥方は、周りば憚らずに泣げ面さらしてあった。
すばらくすて、為信は戌姫の部屋ば訪ねた。
為信と戌姫は……これまでとは違え。なすてかはわかんねばって、互いに目と目ば合わせた。それは睨みあってらんでね。なんだべか……二つ以上の感情が混ざっちゃあ。
一つは、他人のせいにすたい思い。もう一つは自らの責任ば、向き合ってこねかった己ば恨む思い。ほかは……もう、考えねくてい。酷ですかね。
灯は、消された。
月は欠けてらばって、きっと丸くなってく。
編集に関わった方々です。ありがとうございました!
津軽弁MC たろっく@青森盛り上げ請負人
@tsugarujuku017
かまのすけ@冬コミ全日参戦確定
@yuri_kamanosuke