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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
石川高信、病没 元亀一年(1570)春
30/105

最後の鷹狩り 4/5


 (なげ)え太刀()持ち、左腕には縄()つりさげる。鹿は目の(めえ)()迫る。間近()く。もうわん()つか()わん()つか()だけ……今だ。太刀は、鹿の首根っこば(/\)刺す。


 “おおっ” と皆々歓声()あげる。さて縄で縛って仕舞いと、武者は太刀()()戻す。


 ……すると、鹿は突然暴れ出すた。足()高く上げ、今にも武者()襲い掛かるべと()する。


 固唾()のむ。武者は何とか踏み切って逃げるべと()|すたばって、縄が鹿の体とまってまり()、思い通りにはいかね(/\)(がわ)りの(ふと)も助けに行くべ(/\)走っ(はっけ)た、その時。


 辺りに爆音が響く。


 ここは田舎者の集ま(たが)り。初めて聞く(ふと)も多く、慌てて耳()ふさいだ。


 ……為信は鹿()向かって撃ったのだ。獣は、心の臓()やったはんで、動きはねく()なる。武者は間一髪で命拾いばすた(\/)


 為信は皆から称賛()受けた。その筒は何なんずと、触ら(ちょさ)せてけれと大勢(わったど)寄ってく。為信は次の火薬と弾ば込め、もう一度(とお)けさ撃つ。まんだ爆音とともに、生い茂る草()颯爽と通り抜けた。自然と拍手が起きる。


 席()座ったまま遠目で、石川高信も()てらった。隣の政信()耳打ちする。“信直だんたな” と。政信は “んだ、津軽さも扱える(ふと)がおるどは” とたんげ(/\)驚いちゃあ。


 ……わん()つか()経ち、田子信直も到着すた。最初に遅れたこと()釈明す(こまり)、父さ許す()乞うた。父高信は “よい、よい” と優すくなだめた。彼の奥方は肌触りのいいちゃ(_)っこい(/\)()、高信の額()当てる。とめどなく出る汗()丁寧にふき取ってあった。


 信直は、神妙な顔つきになる。そすて、父()しゃべ(\/)った()


 「わっ(_)きゃ()……大殿のわらし(おどご)だば()、家督()辞退すます。」


 父は息ば一つ出す。“んだな(/\)” といった感ずで、信直さしゃべ(\/)った()


 「戦国の世は、生ぎでごその大事だ。」


 父は傍らに置いてら水筒()、息子()渡すた。信直はその蓋()開け、ぐいっと飲む。そすて兄は弟()残り()渡す、弟も同ずようにぐいっと飲んだ。奥方はその様()()で、微笑む。


編集に関わった方です。ありがとうございます!


津軽弁MC たろっく@青森盛り上げ請負人

@tsugarujuku017

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