表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
方言版 津軽藩以前  作者: かんから
石川高信、病没 元亀一年(1570)春
29/105

最後の鷹狩り 3/5

 平原は、新すき命()湧く。新緑は勢いづき、冬眠から覚めた獣たちが()け回る。野兎など小さ(ちゃっけ)な花()()つけては片手で触れ(ちょし)てみたり、花()(ちけ)づけて匂い()確かめでら()


 為信ら含む津軽衆は、郡代の到着するの()待つ。大光寺や千徳など、名だたる武将が集結す(たかっ)ちゃあ。その中でも唯一、為信だけが布さ(/\)包まれた(なげ)え棒()持つ。隣の(ふと)面白(おもへ)がり、“ほう、珍すいこと” などとしゃべり(/\)かけてく。



 (とお)けより、石川高信公は籠()乗せられてきた。その隣()()さ乗って次男(おんじ)の石川政信が付き従う。後ろさは、籠の簾()半開ぎに外っこ()(おなご)もいだ。老齢さ見()えるはんで()……高信の奥方(かか)か。(おなご)()連れ(かで)てくのは異例だ。


 高信は籠から降ろされると、寄り添う奥方(かか)の肩()寄りかかり、もう片方()家来さ支えてもらう。(つら)っこわん()つか()膨れ、肌は黄色ががってあった。たんだ(/\)息は荒れてねくて()、苦しい(へずね)素振り()()せね。


 高信は問うた。


 「信直は、まだなんだが。」


 政信は辺り()見回す。上座にはもちろん、家来らの中()紛れ込んでもいね()


 「いね()んた()。」


 高信は歯がゆそうだ。もともと領地が(とお)えはんで、わん()つか()遅れるとは聞いてらばって、そうとわかってあっても寂すそうでら。


 その(なげ)えあご髭()触る(ちょす)。次に手()開いて、ずっと()つめた。何本もの毛っこ抜けて、汗が手の平についてらった。決すて外は暑くね。高信の体のどこかすこ、おかすくなっちゃあ。ずんぶと()い。そえでも無理()押すてきた。……これが、最後。



 狩は始まった。


 一番手は野原さ足()置き、棒であたり()叩く。(しれ)え兎がどっ(_)てん()して、(たけ)く飛び跳ねる。(とお)けさ逃げるべと()すばって、鷹は素早くその鋭い嘴で獲物()捕まえる。


 二番手は(なげ)え槍()持ち、自分の力だけで獲るという。慎重に(がわ)()観察す、茶色い毛肌のイタチが()えた。そこば(/\)すかさず突き刺す。獣は悲鳴()上げ、その場で倒れこむ。


 次は三番手。鷹()使ってでっ(_)たらだ( ̄\)獲物ば捕まえるとちょっちゃべる。木々の生い茂る方()近づき、なんかいねか(_/)と探る。……すると、でっ(_)けえ()()持った鹿一匹。鷹は木々の間()飛びぬけ、大物()挑発する。鹿は角()つつ(_)がれ()で、鷹の逃げる方()向かう。すると森の出た先さ(/\)、武者は待っちゃあ。

編集に協力した方です。ありがとうございました!


津軽弁MC たろっく

@tsugarujuku017

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ