最後の鷹狩り 2/5
編集にかかわった方です。ありがとうございました!
だっじ@etcSORA
@SoraikeYoh
夜はまたく。為信は戌姫の部屋ば訪れた。
……互えに口っこ開かね。そったときが長く続いた。月は頂上さ達する。眠ることねぐ隣で座り、同ず方ば向くまま。
やっとで、為信は言葉っこば出す。
「どうす。」
戌姫は為信の方ば向く。為信は続けた。
「家来らは、以前のように思ってね。幼え子ば殺すなどと、ありはせん。」
酔いはまだ抜け切れていねせいだべか。わんつか本音が混ずる。
戌姫は、おっかながりながら為信の膝さ手ば置いた。目ば合わせるが……すぐに背ける。
為信はその手ば、彼女の膝の元さ戻すた。
「無理すんなじゃ。」
為信は立ち、その場ば去った。
戌姫は、手鏡ば持つ。持ちはすたが……そのまま下さ置いた。
朝は来た。白原さ太陽は照りつける。為信は火縄の訓練さ行く。小笠原の屋敷さは、松明ばわったど焚かせ、火縄ば乾かす。雪も徹底的にすました。だとこでその一区画だけ土の色っこが見えであった。
小笠原は言葉で教えね。手さ取り、こった風に動かすのだと、体で見せる。為信は慎重に、その様ば真似た。
動作は遅えばって、着実に腕ばあげてきてら。その感触は確かだ。科尻や鵠沼も、太鼓判ば押す。
心地い汗ばかく。たまに面松斎もやってきて、差す入ればする。港より入る珍すい書物もすかり、新すい情報も入れてける。小笠原の屋敷は、為信専用の塾と化すた。
……時は経つ。
雪は解け、年号が永禄から元亀さ改元された頃。石川高信公の容態はなんも良くならねえで、彼は覚悟ば決めた。最後は鷹狩ばすて、武将とすての生涯ば閉ずるべと希望する。
津軽衆は、高岡の地さ集まった。




