最後の鷹狩り 1/5
夜、為信は戌姫の元ば訪ねる。戌姫は今、一人だ。
二人は座るだけ。互えにしゃべんねんで、顔っこば合わせね。同ず方ば向く。
「なあ……三年も続いちゃあ。」
“……んですね”
「……わは、こねばよがったが。」
…………
為信、十九。戌姫、十七。久慈より養子さ入ってこのかた、さすて変わんね。
……鼎丸と保丸は怯えだった。家来らのかつての妄想ば真に受けたんだべか。あの二人ば殺せば家督はけねんでも済む。だはんで為信はなにか企んでらと。
戌姫も、信ず切れてねえべ。
そった状態で、ますてや体ば交わすなど、できようがね。
為信には耐えきれね。話っこばすてみようと来てみたばって無理がった。いたたまれなくなって、その場ば去る。
戌姫は手鏡ば見た。己の顔はどうだべかと。
“このまま全でが終わるのが。いや、終わりだぐはね”
……どうすればいが、わがんね。
冬さ入り、まんた正月ば迎えた。為信と戌姫、二人は上座にて、家来らをねぎらう。この時ばかりは “仮面” ば被る。
去年の正月は偽一揆があったため、二年ぶりの祝賀であった。
ここで兼平は二人の横さ立ち、三戸から届いたという吉報|ば皆々さ伝える。
“南部晴政公側室の彩子様、ご懐妊”
ん、待ってけ、それは……一抹の不安。男子だば、田子信直公はどうなる……んん、酒で頭が回んね。家来たちも同ずだった。それよりも、為信と戌姫の間さ子がいねことば口々にしゃべる始末。
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