鉄砲との出会い 4/5
“それは真だが”
理右衛門はたいそう軽やかであった。
「はい。為信様は、鯵ヶ沢の警護ば強化すてけた。これはほんのお礼です。」
為信は身ば乗り出すて、理右衛門さ請う。
「火縄ばこごさ持ってきてけ。」
手代は火縄を、布さ何重にも包まれた状態で、までえに抱きかかえで持ってきた。そんき大切な代物だ。
厚い布ば、一枚一枚広げていく。すると真っ黒え筒が現れた。光ば受けてねのに輝き、辺り一面さ煙の薄え臭いが立ち込めた。
為信は手さ取る。すばらくずっと眺めた。筒の穴ば覗いたり、縄のところば触れてみたり。
「すて……どう撃づんだば。」
ここで初めて理右衛門は、困った顔っこば見せた。“それがわがんねくて” と。面松斎も知らねんた。もちろん、手代もだ。
「為信様のご家来衆でおべでる者はいねえべか……。」
なに分、田舎侍の集まり……為信のように、見たことね者も大勢いよう。……いるか。小笠原だばどんだべか。
翌日、為信は面松斎ば連れて小笠原の元を訪ねた。科尻と鵠沼もいる。小笠原さ火縄は撃てるかと問うど、こくりと頷いた。全員、庭さでる。
科尻はわんつか欠けちゃあ不要な茶碗ば用意し、遠けの台の上さ置いた。鵠沼は筒以外にも必要なものがそろってらか確認すた。
さで、小笠原はまったくしゃべらず支度ば始める。筒さ付いてあった長え木の棒ば外す、火薬と弾ば筒の中さ押す込めた。手元にある火皿と呼ばるちっちぇな隙間さ、口薬ば入れる。縄さ火ばつける。
ズリズリと音ば立て……火蓋ば切る。弾は一瞬で飛んだ。
茶碗は、砕け散る。
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津軽弁MC たろっく
@tsugarujuku017




