鉄砲との出会い 3/5
「この図面、すばらぐ借えでもいが。」
為信は手っこ合わせ、二人さ懇願する。二人とすては、なすすべがね。
そうすて為信は帰ってった。
“…………危ないところだった”
“殿自ら、下々のところに来るとは”
“今後は気をつけねば”
道すがら、為信は考えた。鯵ヶ沢の大家主と言えば、一人すかいねえと。理右衛門だ。そこで面松斎は世話さなってらびょん。
話っこの種とすて、火縄のこともしゃべってみよう。
山々の頂上の葉は落ちきり、平野にかけては丁度紅葉の見ごろだ。理右衛門屋敷の庭先モミズも、鮮やがな様であった。
為信が客間で茶ばすすってらと、渡り廊下より面松斎、着飾った格好でやってきた。
「為信様、お久しゅう。」
思わず、わったど笑ってまった。面松斎も故はわかってら。
「客もそれ相応のものを望んでおります。……仕方なしにこのような……。」
手ば曲げで、いがにも芸者のような身振りばする。“大占学者”とすての雰囲気とはなんなんず。
落ち着いたとこで、面松斎は客間さ入る。早速、火縄の図面ば見せる。
「確かに……こちらはこういうのが遅れておりますな……。」
面松斎は相槌ば打った。為信はしゃべる。
「一度でもいいはんで、ちょしてえものだ。」
“……そうなると、やはり理右衛門様ではないですか”
“理右衛門のう……”
為信は、この家の主人である理右衛門ば呼ばる。理右衛門はむったど朗らかで、大黒様だんた。火縄のことばしゃべってみると……。
「一丁だげ、持ってら。よろすければ、けますか。」
編集に関わった方です。ありがとうございました!
津軽弁MC たろっく
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