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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
石川高信、病没 元亀一年(1570)春
22/105

鉄砲との出会い 1/5

 田子信直は、南部家の跡取り()なった。九戸実親の働きは一歩及ばず、わった(_/)と悔しがる。信直は為信ば信頼す、たんげ(/\)褒めたたえた。ただすこれは二人だけの話。本当は為信が首ば(/\)打ち取ったのだとバレてはまね(/\)。“いづの日が恩ば返す” と約束するすかできねかった。


 ただす、為信の家来である兼平と森岡は知ってら。その様()(とお)けからまった()とこで()。……こうなれば、森岡も認めざる()得ね。いつすか大浦の家中()知れてまり、秘話とすて心()留め置かれた。


 小笠原は見事に手柄()立てたはんで()、大浦家()正式に仕えること()なった。これまでのあばら屋ではねく、もうすこす造りのぴっと(_/)すた屋敷かまどけるべ(/\)とすたばって、小笠原は断る。これまでの屋敷かまどの方が身の丈さ合ってら()んた。謙遜なのか、放浪のうちに身につけてまった貧乏性か。


 大浦城()軍は引き返す。為信の気は久々に緩んだ。やっとでわあの意思が家来()伝わるようになってきたことに、手ごたえ()感ず始めてら。わん()つか()気晴れやか(あずましいん)だ。


 ”……面松斎はなに(_)すてら(/\)だか()。まんだ、占いの真似っこでもすてら(/\)かな()


 昔は愚痴ば聞かせたもんだばって。今も続く悩みは……頭によぎるのは(かか)の事。決すて仲睦まずくはねえ。どう接すればいかわからね。……面松斎だば()、何としゃべる(/\)べ。


 ”……ばって、高山稲荷さも行き(ずれ)え。万次ど鉢合わせでみろ、不測の事態ば生みかねん”


 ”理右衛門殿()頼むが……そう何度もな……ああ、小笠原だば()どうだ。同ず()他国者だとこで”



 秋の頃合いだ。為信は小笠原の住まうあばら屋()出向いた。真昼ぐらいだったべか()、彼は戸ば叩いた。戸はわん()つか()だけ開き、小笠原とは(ちげ)つらっこ()えた。科尻は訝すそうに “どちらさまでしょう” と訊いだ。為信はもちろん、“大浦為信だ” と答える。当然、科尻は仰天すた。


 「すいません。いまだ殿と会ったことなく、顔を存じ上げませぬ。」


 慌てて、机()がじゃ()めて()あった紙()すまい出すた。

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