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方言版 津軽藩以前  作者: かんから
鹿角合戦 永禄十二年(1569)秋
21/105

南部の跡継ぎ 5/5

 信直と為信は、城の中()()った。激すく攻め立てられ、落城も目さる。だばって手放すがたきに変わりねく()、敵は緩むことねく必死に抗う。その中で信直自ら城主の首ば(/\)とり、南部の後継()名乗り()あげること。至上命題だ。……配下より、報告(しかへ)に来る。


 “九戸勢、南より城内()侵入。わったと(/\)攻め立ででら”


 予想通り。こちらは一歩(はえ)く進んじゃあか。すでにここは城の中心。


 迫って来る敵兵()幾重にも切り倒す、信直と為信は進む。……すると、向こう側より女子おなご(さか)び声が聞けた。……奥方と子供わらしだか、兵士()連れられて逃げるとこだ。鮮やかな羽織()身に付けてらばって()たんげ(/\)乱れきっちゃあ()


 信直は大声でさかぶ。


わあは南部一門、田子信直だ。(よえ)おなご子供わらしまで手()出す気はね(/\)。安心なされよ。」

 

 敵兵はここさ気付く。ある(ふと)は刃()向けて警戒す、ある(ふと)は奥方と顔ば(/\)()合わせる。戸惑ってらんた()


 二人は相手の出方ばうかがってらと、彼らのさらに奥の襖より、立派な鎧兜()身に着けた武将が現れた。そすて(_/)怒鳴りこむ。


 「わあごそは安東家臣長牛城主、大高忠成だ。情けはいらね(/\)、神妙に勝負。」

 

 信直と敵将、互いにゆっくりと(ちけ)づく。その間に奥方と子供わらしは兵士()連れられ(とお)けさ逃げでった。憂い()はね()といった心地だべか()、敵将は金属音が鳴るくれえ(つえ)く、信直の刀と組み合った。

 ……信直は次第に後ろ()下がってく。為信はよってくる敵兵()倒す。


 “わっ” と信直の声が聞こえた。為信が振り向くと、信直は背中から倒れており、敵将と組み合ったまま踏ん張ってら()

 

 “まね”


 為信は、卑怯にも横から刀()刺すた。……一対一と決め込んじゃあ敵将も悪いかもすれね(_/)ばって、為信もはずめ(_/)手出すば()する気はねか()った。ただただ、信直()守るためだ。


 信直は息っこあらげて、その様()るだけ。為信はなんとか冷静さ()保ち、落ち着いて敵将の首()とった。

 

  


 為信は……首ば(/\)信直()差す出すた。……一瞬で理解すた信直はこまる()

 

 そすて大声で(さか)んだのだ。

 


「田子信直、城主の大高忠成()打ぢ取った。」

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