南部の跡継ぎ 3/5
「……んだ、西さ兵ばまわすべ。」
“この城の兵はわんつかだ。どぢみぢ援軍の到着前に落ぢる”
“すると……どんき早ぐ、落どせるか”
“そんだ。九戸の伏兵はきっと、南側の川ば回ってくるびょん。だばってあらんどは姿ば隠せね……”
“森である分、いいんたな”
諸将らは議論ば深める。
ここで、信直は立ち上がった。
「私自ら首ばとった方が、大殿さ働ぎがげなるべ。政信は北がら城の正面さ向がいへ。」
“えっ……。だば兄上は……”
“伏兵どすて、西より城さ入る”
大光寺は慌でで静止すた。
「殿自ら……御身ねぐば、家督も継げねべな。」
”もすもがございますれば”
“一度ぐれえ死地ばぐぐらねば、でったらだ成果は得られん”
信直は周りば睨む。そすて大声で叫んだ。
「誰がいるんだな。私にづでえくものは。」
為信の決断は早かった。真っ先に手ばあげる。ほかに手ばあげる者はいね。信直は為信さ近づき、肩ば叩く。“よろすく頼む” としゃべり、その場ば後にすた。
政信はおろおろとすばす、大光寺は無言。諸将らは為信に “ぐれぐれも殿さ大事なきように” と励ますばおくった。
……為信は、自陣さ戻る。小笠原は家来衆の末席で、目ば瞑って座ってら。無の境地とでもいうべきだか、手柄ば立てることだけが彼の頭の中さあるのだろう。
為信は指示ば出す。
「皆々、大浦兵は田子様ど共に兵ば進めるごどさなった。早速だが出陣する。」
……為信は大任ば仰せ預かった。森岡は小笠原ばわんつか見で、すぐに顔ば戻す。
……お飾りの主の元、兵らは我先にと付いてった。
編集に関わった方です。ありがとうございました!
まほまほ
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