他国者とは 1/5
梅は咲く。その薄い花びらっこは、潮風でひらりと舞い落ちる。池の水さ浮かび、鯉の餌だと勘違いすて口ば開ける。この有り様はどんき平和なことか。
ここは鯵ヶ沢、津軽きっての港町。大浦家が種里城さ本拠ば置いてあったころより、までぇに保護すてきた。種里より赤石川ば下れば、かの地さつながる。……港から得られるじぇんこもがっぱどある。
南部氏は代々大陸的な統治志向で、海さ目ば向いてね。そった中でも大浦家は、海洋的な性格も持ち合わせてら。かつてこのあたりは安東領であったためか。
……船問屋、長谷川理右衛門の屋敷。為信はお礼ばしゃべりに彼の元さ訪ねてら。新たなる家来と会うためでもあった。三人はござさ座りながらしゃべる。
家来は口を開く。
「……小笠原と申す。」
この恰幅のいい男。万次は”ごやづがいいべ”と、理右衛門さ預けた。為信は小笠原さ問う。
「出身はどごなんず。」
「……信州深志です。」
小笠原は愛想がねというか、……表情がねえ。
理右衛門は微笑みながら言葉っこば加えた。
「寡黙ばってろ、真面目な男ど伺っちゃあよ。小笠原殿さ加えで、科尻ど鵠沼と申す者も小笠原殿さ付げでけれどしゃべってら。」
「では、その二人も信州が。」
「はい。武田がら逃げでぎだけやくだど。」
武田のう……。日の本で一番強え大名だ 「んだ、小笠原。下がってけれ。」
小笠原は一礼をし、襖を閉めて帰る。為信は息っこばついた。彼のことは哀れだとも思えたが、偽一揆での出来事……簡単に感情ば入れるのできねくなってら。
「なあ……理右衛門よ……。」
お主は、他国者ばどう思う。
関わった編集者です。ありがとうございました!
津軽弁MC たろっく
@tsugarujuku017